HbA1c+0.4
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
糖尿病の重要な指標にHbA1cがあります。赤血球の蛋白であるヘモグロビンと血管内の余計なブドウ糖が結合したグリコヘモグロビンの一種で、血液検査する約1~2ヶ月前の平均血糖値を反映すると考えられ、HbA1c5%=平均血糖90mg/dlとして1%につき30mg/dl増減します (例:HbA1c 7%=150mg/dl)。本年5月に糖尿病診断基準が改定され、7月1日より施行されましたが、HbA1cについては診断の際、血糖値異常と同時にHbA1c6.1%以上であれば糖尿病と判定されるようになると共に、国際標準に合わせるため現在の測定値に0.4加えることになりました。国内の測定値は測定法の違いから国際標準値より0.4低く、先ほどの6.1%も国際標準値に直すと「6.5%」ということになります。いつから変更するかまだ発表されていませんが、慣れるのには時間がかかりそうです。
更新日時:2010年08月31日 02時59分
手足口病
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
夏風邪の本格的な季節になりましたが、中でも手足口病にはいつもより注意が必要かもしれません。手足口病は3〜5日の潜伏期間を経て、手、足、口に小さい水疱様の発疹が出来るウイルス感染症です。通常は軽い経過で終わることがほとんどですが、今年は、原因となる数種類のエンテロウイルスのうち、「エンテロウイルス71 (EV71)」という、脳炎や心筋炎を発症することがあるウイルスが検出されることが多いのです。特に嘔吐を繰り返したり、四肢の脱力や意識障害といった症状を認めた場合は神経系への感染の波及を疑い、医療機関に連絡を取ってください。発熱の高さは重症度の目安にはなりませんが、いつもより機嫌が悪い、活気がない、頭痛があるなどは要注意の信号です。主な感染経路は飛沫感染や糞口感染で、便中にはかなり長期に排出されます。
更新日時:2010年07月26日 13時47分
成人の百日咳
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
百日咳は特有の痙攣性の咳発作を起こす感染症で、母親からの胎盤移行抗体が効かず乳児期早期から重症化する可能性があります。三種混合ワクチン(DPT)が実施されるようになってから発生者は激減しましたが、最近成人の発症報告が目立つようになり、特に今年は報告例の半分以上が20歳以上です。予想外に早くワクチンの免疫が消失してしまうのが原因で中学生の約半数、20歳前後になるとほぼ全例で抗体がなくなるといわれています。成人では咳は長引くものの特徴的な咳になることは稀で今のところ診断法も確立しておらず確定診断が難しいため、2週間以上咳が続いているか発作性に咳込む場合は百日咳を疑って積極的に治療した方が良いでしょう。百日咳菌は咳が出始めてから約3週間は患者から排菌されますが、抗生剤投与後約5日で検出されなくなります。
更新日時:2010年06月28日 11時09分
新しいワクチン(2) 接種間隔
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
前号でお話ししましたが、最近相次いで新しいワクチンが承認されました。これらは月齢や年齢により複数回接種が必要で、従来のワクチンスケジュールに組み込むと膨大な接種回数になりますが、同日接種によって回数を減らすことができます。欧米では日本ほど厳密な規制がなく、
- 生ワクチン同士は同日、また4週間以上あける
- 生ワクチンと不活化ワクチンはどちらが先になっても接種間隔に規制はない
- 異種の不活化ワクチン同士は同時でも、いつでも接種可能
なため2~3種類の同日接種は日常的に行われています。日本でも添付文書上「医師の判断で」同日接種可能となっているので、例えばDTPにHib、おたふくと水痘などを組み合わせることが可能です。同日接種でも免疫効果に差はないので、一度主治医と相談なさってみてください。
更新日時:2010年06月03日 10時27分
新しいワクチン(1)
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
今年になって小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸癌予防ワクチンが発売されました。小児細菌感染症の最多を占める肺炎球菌は肺炎、髄膜炎、菌血症の原因となり、ヒブワクチンと両方接種することで重症細菌感染を予防できます。生後2ヶ月以上9歳以下が対象ですが、集団生活を始めた乳幼児のほぼ全員が1~2ヶ月後にインフルエンザ菌や肺炎球菌の持続保菌者になるため、早めの接種が良いでしょう。一方子宮頸癌は20~30歳代の女性に最も多い悪性腫瘍で性的接触によるヒトパピローマウィルス(HPV)感染が原因ですが、全女性の70~80%は一度は感染し、一部が持続感染状態から前癌病変へ発達するため、ワクチン接種によってHPV感染を防ぐことで癌発生を70%阻止できるといわれます。10歳以上の女性が対象ですが、HPV未感染の時期の接種が特に有効です。
更新日時:2010年04月26日 14時58分
後発医薬品を考える
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
後発医薬品(ジェネリック品)とは、特許が切れた薬剤に対して他の医薬品メーカーが製造した、同じ主成分を含んだ薬剤のことで、価格が低く抑えられるため厚生省や健康保険組合がかなり必死にPRしています。当クリニックでもご希望の方に後発品の処方をしていますが、幾つか問題点もあり、
- 製造工程や添加物の違いからか効果がばらつき予想した効果が得られなかったり、大きさや味付けが変わり飲み難くなることがある
- 同じ主成分なのに適応症が異なることがある
- 生産ラインが不十分で供給が不安定なメーカーがある
- 後発品メーカーからの情報提供がほとんどない
等、先発品と全く同等ではありません。後発品メーカーも多数あり、処方する私たちにとって全てを把握することは不可能なため、費用対効果について即答できないのが現状です。
更新日時:2010年03月29日 13時19分
日本脳炎ワクチン(2)
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
最近日本脳炎ワクチンについての問い合わせを多くいただきます。昨年夏にもお話ししましたが、培養細胞を用いた改良型のワクチンを、八王子市内のどの医療機関でも接種出来ます。副反応はゼロではありませんが、旧型のワクチンより発現頻度は低いと考えられ、3歳から7歳半までのお子さんは無料です。厚生労働省も以前のような積極的勧奨を決定しており、対象年齢のお子さんは最寄りのかかりつけ医に計画を立ててもらうと良いでしょう。中止期間中に対象年齢を過ぎたお子さんに対する救済措置はまだ結論が出ておらず、もう少し待つ必要がありそうです。
さて、4月に小学校入学を控えて、まだ第2期のMR(麻疹・風疹)ワクチンを接種していないお子さんはいませんか? 今月末までが無料接種の有効期間なので、忘れずに接種して下さい。
更新日時:2010年03月01日 16時05分
感染性胃腸炎
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
1月中旬以降インフルエンザや感染性胃腸炎が増加してきています。一般診療所で使える簡易測定キットがないため確認出来ませんが、感染性胃腸炎の大半はノロウィルスのようです。潜伏期間は24~48時間、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛が主症状で特別な治療を必要とせず数日で軽快しますが、乳幼児や高齢者では特に脱水に注意する必要があります。ノロウィルスは空腸に感染して(1)水分の吸収能力を低下させ、さらに(2)体内から腸内へ水分が漏れるために下痢症状が起こるので、十分な水分補給が欠かせません。感染経路は糞口感染をはじめ複数あり、特に感染者の吐物や汚れた衣類の処理にはご注意ください。洗濯機で洗うと他の衣類に付着する恐れがあるので、バケツを使って次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が必要です。食材は、85℃以上で1分以上加熱すると安全です。
更新日時:2010年02月02日 18時21分
インフルエンザの今後
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
明けましておめでとうございます。去年は新型インフルエンザの流行で大変でしたが、12月初旬からピークを過ぎ年末にはかなり落ち着いてきました。12月の国立感染症研究所の発表では、5~12月に罹患した推定の累積患者数は約1414万人で、大半は合併症なく治癒しましたが、肺炎を併発して急速に重症化した例もあり、特に気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患がある場合は注意が必要です。また、126人がインフルエンザ脳症を併発し、39人が死亡しました。今後の流行を予測することは難しいですが、既に人口の10%以上が感染し、年齢層によっては(特に5~14歳)かなり高い比率で免疫を保有した可能性があるので、ゆっくりと収束していくという意見もありますが、本格的な厳冬期を迎えて季節性インフルエンザの流行も予想されるため、まだ警戒が必要です。
更新日時:2010年01月06日 13時22分
ワクチンあれこれ
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
新型インフルエンザワクチンについてはご迷惑をおかけしています。11月に2回配布される予定が1回しかなく、次にいつ、何人分のワクチンが来るのか全く分からないため、予約受付を中断している状態です。受付可能な人数の目途が立てばすぐ再開したいのですが、事前の連絡が何もないためとにかく配布を待つしかありません。輸入予定ワクチンの安全性が問題になりかけており、今後も供給が不安定になる可能性があるため、接種希望の方はインターネットや電話での確認をお願いいたします。
さて、これまで再接種出来なかった成人用肺炎球菌ワクチンが接種後5年以上での再接種が認められる事になりました。このワクチンは2歳未満に適応はありませんが、新たに小児用肺炎球菌ワクチンも認可されました。発売は来年春頃で詳細がわかり次第お話しします。
更新日時:2009年12月02日 03時07分