在宅医療22
武島内科クリニック 院長 武島英人
嘔吐を伴う感冒が流行っています。原因の一部はノロウイルスによる感染症です。昔、小型球形ウイルスといわれたもので生牡蠣からの感染が有名です。時に高齢者施設での大流行が起こり、毎年死亡者が出る等の甚大な被害が報告されています。一般的に数日間で回復しますが、寝たきりの患者さんにとって恐ろしい感染症となります。もし家族に下痢嘔吐が生じたら、高齢者には絶対に近寄らないことです。よく流水で手を洗い、吐物には触ってはなりません。
私が以前、乳幼児がよく罹るロタウイルス感染症に不注意で罹ってしまった時は、午前中トイレを往復。ついには点滴しながら診察した経験があります。子どもばかりではありません、大人もウイルスにはご注意下さい。
更新日時:2009年01月02日 03時15分
在宅医療21
武島内科クリニック 院長 武島英人
本年も残すところ一ヶ月をきりました。寒さが増すのもこの時期ですね。
患者さん、特に在宅で療養中の方には感冒が一番の大敵です。介護をなさる方は、毎日患者さんの熱を計って、少しでも高ければ早めに主治医へ連絡して下さい。早期発見、早期治療が病の進行を抑えてくれます。また、風邪にかかったかなと思ったらマスク、手洗い、早めの投薬で患者さんにうつさないようにすることが重要です。
また一方で、ノロウイルスによる嘔吐下痢症の発生がみられます。寝たきりの患者さんにとって、嘔吐下痢は命取りになります。脱水にならないよう、水分補給は欠かさないようにして下さい。尿量が少ない時などは脱水があるのかもしれません。
最後に、インフルエンザワクチンを打つことも大切です。介護をなさる方もされる方も禁忌でなければお勧めします。
更新日時:2008年12月04日 15時10分
在宅医療20
武島内科クリニック 院長 武島英人
本年も2ヶ月足らずとなりました。インフルエンザ予防接種はお済みですか? 特に呼吸器疾患をお持ちの患者さんは禁忌でない限り、積極的な接種をお勧め致します。
インフルエンザに罹らないようにするには、体力をつけるのも大切です。体力は栄養に左右されます。栄養摂取は、点滴で直接静脈内に栄養を投与する方法と、経腸栄養の2つの方法があります。末梢の血管から輸液を入れる場合、何度も同じ場所の血管を使用すると静脈炎を引き起こしやすいという難点がありますが、食欲のない方にはカロリーは低くても、だるさが取れ体は楽になるものです。子どもの場合、ぐったりしていても点滴が終わる頃には元気に帰っていく場合もあります。
体液のバランスを保つのは大変重要なことです。高齢者の方は、脱水になりやすく、点滴は大切な治療の一環になります。
更新日時:2008年11月05日 11時49分
在宅医療19
武島内科クリニック 院長 武島英人
秋になり、ご自宅で療養されている患者さんにとって、大敵は感冒です。特に呼吸器疾患をお持ちの方は、11月中にインフルエンザワクチンを接種してください。
感冒の流行と共に食欲も落ちてくると、点滴が重要な役割を果たします。高齢で痩せている患者さんの場合、血管がもろくてすぐ液漏れしてしまい、点滴に30分~1時間費やすことがあります。肥満で血管が出にくい方も同じです。ただし、これを毎日行うのは、大変な労力と時間を費やします。そんな時は、皮下輸液という、以前に一時やっていた方法があります。これはお腹、胸部などの、体動にあまり影響のない場所に直接針を刺し、時間をかけ、ゆっくりと点滴をする方法です。一時的に皮膚の膨隆、痛み、冷感を訴えることもありますが、徐々に吸収され、脱水を補うことができ、便利な治療法です。
更新日時:2008年10月02日 15時36分
在宅医療18
武島内科クリニック 院長 武島英人
夏は、健常な人でも暑さで食欲が落ちるもので、病気で長期臥床されている患者さんはなおさらです。この食欲不振というのはしばしば医者を悩ませるものです。若い方なら点滴をしてしばらくすると回復の兆しをみますが、ご高齢者は低蛋白血症から浮腫を生じやすく、感染しやすくなります。そうなると抗生剤の投与も必要となってきます。したがって、ご高齢者の食欲不振と聞くとドキッといたします。そんな時は経腸栄養剤という手もありますが、その前に患者さんの嗜好をたずね、お好きなものを食べていただくことにしています。しかも、時間に関係なく食べたい時に食べていただき、少量ずつ試みてもらっています。消化の良いものは、例えば、おかゆ、うどん、雑炊、豆腐はもちろんですが、プリン、ゼリー、アイスクリーム、カキ氷なども食欲低下の時はお勧めです。
更新日時:2008年09月03日 15時32分
在宅医療17
武島内科クリニック 院長 武島英人
癌末期になると痛みが強くなり、次第に苦痛を伴い、不眠が生じることがあります。このような時は、躊躇せず麻薬を用いることが大切です。しかしながら我が国の麻薬消費量は、最も消費の多い米国の1/50、フランスや英国の1/7と、先進国の中でも極端に少なくなっています (癌緩和ケアガイドブック)。このことからも、十分な緩和ケア、すなわち癌の痛みやそれに伴う様々な症状が十分にコントロールされてないことがわかります。その理由の一つとして、日本では緩和ケアの専門機関が少ないことがあげられます。英国ではがん患者の70%以上が緩和ケアを利用しているのに対し、日本では10%以下に過ぎません。では希望の療養場所は、痛みを伴う癌末期の患者さんの場合、約60%が自宅です。一方、自宅で最期を迎えたい人という人は、10%にとどまるようです。
更新日時:2008年07月31日 13時25分
在宅医療16
武島内科クリニック 院長 武島英人
褥瘡(じょくそう)は、寝たきり患者さんにしばしば遭遇する疾患です。できやすい場所は仙骨部ですが、背骨、足首など体重が加わるところならどこにできてもおかしくはありません。
治療法は、消毒した潰瘍部分の壊死組織を外科的処置で取り除き、皮膚組織を再生させる薬を塗り、ガーゼで覆い、肉芽組織を再生させるのが一般的です。一方、ラップ療法は傷を消毒せず抗菌剤も使わず、ガーゼの代わりにラップを貼っておくだけの治療です。ラップは100円ショップでも売っている食品包装用の薄い透明なフィルムです。
一般的にラップ療法が成功する為には全身状態の良い患者さんで、皮下脂肪の浅い方は不向きです。また、閉塞性動脈硬化症による踵の潰瘍には効果はありません。日常品を使うからといっても褥瘡の治療は必ず主治医の指示に従うことが重要です。
更新日時:2008年07月03日 17時35分
在宅医療14
武島内科クリニック 院長 武島英人
在宅医療でしばしば遭遇する病気は、感染です。上部気道、下部尿路感染が一般的です。また、寝たきりの患者さんでは、褥瘡もよく見られます。一番知られている場所は仙骨部位ですが、時に背骨の突出部位や足の踵部分にも生じます。
そもそも、この褥瘡はどうしてできるのでしょうか? 私達は同じ姿勢を保っていると、その部位に痛みを感じるため姿勢を変えます。寝ている場合は無意識のうちに寝返りをします。すなわち同じ姿勢を続けていると、ある部分にだけ圧力が加わる結果、血流が途絶え細胞の壊死を引き起こします。これが褥瘡です。
この褥瘡は、部位によっては2時間程で形成されるといわれています。最初皮膚表面は赤みが生じ、次第にびらん、潰瘍へと進行します。したがって、初期の赤みを見逃さないことが重要になります。
更新日時:2008年05月01日 10時36分
在宅医療13
武島内科クリニック 院長 武島英人
食欲不振になると点滴がすぐ頭に浮かびます。さらに終末期には食欲が低下する傾向があります。
癌終末期患者で輸液群と非輸液群に分けて、精神症状及びライフクオリティーの変化を調べた研究があります。それによると、「眠気、幻覚などの精神症状は輸液群で改善したが、倦怠感やライフクオリティーの評価には差がなかった」ということです。
聖隷三方原病院緩和支持治療科部長の森田達也医師によると「終末期は精神状態が変化しやすい為、気分をはっきりしたい患者さんには輸液すべし」と指摘しています。そして「1000ml以下に輸液を抑えることによって腹水、胸水、浮腫は悪化しない傾向にある」という論文を出しています。往診では、少量の点滴は拘束時間を考えると、患者さんはもちろん医療従事者にも助かります。まさしく諸刃の剣ですね。
更新日時:2008年04月02日 19時23分
在宅医療12
武島内科クリニック 院長 武島英人
癌性疼痛は癌患者さんの日常生活を著しく低下させます。したがって、疼痛コントロールは質の高い生活維持のため大変重要な位置を占めます。その目標としては、まず睡眠が十分とれるか、一部の癌を除いて食事摂取が可能かどうか、入浴、外出可能かなどです。痛みは我慢しないことが大切です。特に、睡眠は健康維持のために重要です。睡眠不足ですと、頭がボーっとして物事に集中できません。また、免疫力も落ちて風邪をひきやすくなります。常に病床の患者さんはなおさらです。昼間はばたばたと騒がしく、生活音が聞こえるため安心して寝てしまうことも多い半面、夜間は刺激が全くか極端に減るため、むしろ頭がさえて不眠を訴えることがあります。よく病院でナースコールを頻回に鳴らす患者さんにもこのようなケースがあります。麻薬による除痛が大切になります。
更新日時:2008年03月05日 18時04分