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黒田雄三

メタボリック症候群について その7:運動療法を始める前に

田村クリニック健診センター センター長 黒田雄三

メタボリック症候群の状態から脱するためには生活習慣の改善が欠かせず、その中心となるのは運動療法と食事療法です。ただし、正しい方法で行わないと改善効果は認められず、また体の状態をきちんと評価しないで運動を始めてしまうと、かえって潜在している病気を悪化させてしまう結果になりかねません。

当健診センターでは隣接するフィットネスジム『オレオス』と連携して、メタボリック症候群や生活習慣病に対する運動療法を行っていますが、運動療法を始める前に必ずメディカルチェックを受けていただいています。メディカルチェックを行う目的は二つあります。

第一に、内臓肥満やインスリン抵抗性、血圧、血糖値、コレステロール ・中性脂肪値などを調べることで、メタボリック症候群などの進行度を把握することです。この結果に基づいて運動療法の目的・方向性を定めてから運動を開始し、およそ3ヶ月後を目安に運動療法の効果を判定するために、再度メディカルチェックを行います。各種データが改善しているかを確認しながらその後の運動療法を進めていきます。

メディカルチェックの第二の目的として、運動を行う上での危険性の有無を確認することが挙げられます。例えば、既にメタボリック症候群の最終的な合併症である動脈硬化が進んでいて、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞が併発している、あるいはその危険性が高いと判断される場合には、先に動脈硬化に関する精密検査を行う必要があります。また、重症の高血圧症や糖尿病の場合にも外来での治療を優先する必要性があります。その他に蛋白尿が認められる場合や眼底出血が疑われるようなケースでも運動を行うことによって病状が悪化する可能性があります。

一般的なフィットネスジムは基本的に「健康な方」を対象としているので、動脈硬化の予備軍であるメタボリック症候群や生活習慣病の方が同じやり方での運動を始めると、逆に状態を悪化させる可能性があります。また、それまで運動をあまりやっていなかったのに、自己流で運動を始めるのはケガなどの危険性も伴います。運動療法を始める前に、きちんと体の状態をチェックし、正しい方法と手順で運動療法を行うことが大切です。

更新日時:2008年06月03日 16時01分

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黒田雄三

メタボリック症候群について その5:高血圧症

田村クリニック健診センター センター長 黒田雄三

血圧には収縮期血圧と拡張期血圧があり、それぞれ140mmHg、90mmHg以上の場合に高血圧症と診断します。高血圧症の原因は様々であり、遺伝的な影響や塩分の取りすぎ、運動不足などの生活習慣、ストレスなどを背景としておこる「本態性高血圧症」、血圧に関連するホルモンの異常、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群などが原因となる「二次性高血圧症」があります。原因に関わらず、血圧が高い状態が持続すると血管や心臓に負担をかけて様々な合併症を起こします。

メタボリック症候群は、内臓肥満によるアディポカインの分泌異常とインスリン抵抗性により脂質・糖の代謝異常が起こることをこれまでご説明してきましたが、それ以外にレニン・アンジオテンシン系と呼ばれるホルモンがメタボリック症候群に関与していて、その調節異常がメタボリック症候群での血圧上昇に関与すると考えられています。レニン、アンジオテンシンはそれぞれ腎臓、肝臓で合成され、血管の収縮やアルドステロンというホルモンを介した腎臓での水分・電解質の調節に関与します。また、レニン・アンジオテンシン系は血管や心臓などの組織内にも存在し、細胞の増殖に関与していて、この組織レニン・アンジオテンシン系の調節が乱れることにより動脈硬化や心臓肥大が進行してしまいます。

メタボリック症候群の診断基準の中で、血圧に関しては高血圧の前段階である「正常高値血圧=収縮期130mmHg以上、拡張期85mmHg以上」を基準値としています。これは、「高血圧症」という診断がつく以前の段階で動脈硬化の進行の危険性があることを認識し、できるだけ早期に生活習慣を改善することが望ましいからです。健康診断以外でも自動血圧計などでご自身の血圧をチェックする機会があるかと思いますが、高血圧症になっていないからといって安心はできません。メタボリック症候群の場合には、その前段階から体内のホルモンバランスが崩れ、何も自覚症状がないうちに血管のダメージが進行している可能性があるのです。

病気の予防はできるだけ早期にその危険性を認識することから始まります。当健診センターの「メタボリック・ドック」で体の状態をチェックすることをお勧めします。

更新日時:2008年04月02日 19時49分

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黒田雄三

メタボリック症候群について その4:脂質代謝異常

田村クリニック健診センター センター長 黒田雄三

高脂血症=脂質代謝異常というと、これまでは、コレステロールを低下させることが動脈硬化予防の上で重要視されてきました。コレステロールの値というと、以前は「総コレステロール」を指すのが一般的でしたが、現在は、一般に悪玉コレステロールと呼ばれている「LDLコレステロール」の値について動脈硬化のリスクを判断するようになっています。そして、数多くの研究結果でLDLコレステロールを低下させることが心筋梗塞の予防に有効であることが示されてきました。

しかし、コレステロールだけを低下させても、他の危険因子も改善させなければ不十分であることが改めて認識されるようになり、とくにメタボリック症候群のように危険因子が重複して存在する状態が動脈硬化予防の上で注目されるようになりました。

メタボリック症候群では中性脂肪(トリグリセライドとも言います)が高くなります。これは内臓脂肪の蓄積とインスリン抵抗性の結果、脂肪組織から血液中を流れて肝臓に入ってくる脂肪酸が増え、肝臓でVLDLという中性脂肪を多く含んだ物質が過剰に作られるためです。このVLDLは血液中の酵素により分解されて「レムナント」という物質になりますが、これが動脈硬化を引き起こす過程で中心的な役割を果たしていると考えられています。

また、一般に善玉コレステロールと呼ばれている「HDLコレステロール」が低くなるのもメタボリック症候群の特徴の一つです。HDLコレステロールは、血管壁に沈着したコレステロールを引き抜き肝臓に運ぶ役割を果たしていて、これが低下することで動脈硬化が進行しやすくなります。

メタボリック症候群で認められる危険因子の重複に対して、個々の病態に対して薬で改善させることは可能です。中性脂肪についても高い状態が続けば薬物治療が必要になります。しかし、メタボリック症候群の根本的な問題である内臓肥満を改善することが治療の本質です。当健診センターでは隣接するフィットネス施設と連携して、運動指導や食事指導による生活習慣の改善のお手伝いをいたします。生活習慣改善によって脳卒中、心筋梗塞の予防をしましょう。

更新日時:2008年03月12日 15時39分

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黒田雄三

メタボリック症候群について その3:糖代謝異常

田村クリニック健診センター センター長 黒田雄三

内臓肥満によるアディポカインのバランスの乱れ、その結果として生ずるインスリン抵抗性について、前回ご説明しました。今回はメタボリック症候群がさらに進行した状態で合併してくる生活習慣病の一つ、糖尿病について取り上げます。

メタボリック症候群では肝臓などでのインスリンの働きが低下し、食事から摂取された糖質を十分に処理することができず、特にその初期の段階では食後の血糖値が上昇しやすくなります。そのまま放置しておくと、次第に空腹時の血糖も上昇し、糖尿病の状態となります。

糖尿病は様々な合併症を引き起こします。いわゆる三大合併症として網膜症・腎症・神経障害があります。網膜症が悪化すると失明する場合もあります。腎症については、蛋白尿から次第に腎機能の低下につながり、腎不全が悪化して人工透析が必要になることもあります。神経障害の症状としてはしびれや立ちくらみ、便秘・下痢などがあり、日常生活に支障を来します。また、糖尿病は動脈硬化の危険因子でもあり、脳卒中、心筋梗塞などの危険性を高めます。

糖代謝に関する検査としては、空腹時血糖値や尿糖検査、ヘモグロビンA1cという検査が一般的です。ですが、これらの検査は糖代謝のアンバランスが進行してから異常値をきたしてくるので、早期の異常を捉えることはできません。当健診センターのメタボリック・ドックでは1.5AGという値を調べます。これは、血糖の上昇に伴って尿に排泄され、食後の一時的な血糖上昇を鋭敏に反映します。

糖尿病の発症には運動不足、過剰なカロリー摂取だけでなく、遺伝子によって規定される「体質」という要素も関与しますが、内臓肥満の蓄積によるインスリン抵抗性が糖代謝異常悪化の一因であることは間違いありません。糖尿病の合併症を起こしてしまってからでは、元の状態に戻すことはできません。早期にインスリン抵抗性の状態を把握できれば、生活習慣の改善によって糖尿病を予防できる可能性が大きいので、人間ドックでチェックを受けることをお勧めいたします。

更新日時:2008年02月11日 16時01分

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店名/社名 医療法人社団めぐみ会 健康プラザ 田村クリニック健診センター
住所 多摩市落合1-35ライオンズプラザ多摩センター3F[地図
TEL 042-311-5310
(ここに地図が表示されます)

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