小児の包茎はどうしたらいいの?
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
子どもの陰茎(おちんちん)は生まれてきた時には、真性包茎(皮をかぶっていてむけない)が普通です。小児の包茎をどうするかについては、以前より様々な議論がなされてきました。それらを集約すると、日本においては多くの医師が手術しないで保存的に扱っているようです。その理由としては次のことがあげられます。
- 小児の包茎は生理的なもの(生まれた時には包茎)であって、年と共に大多数はむけるようになる。
- 亀頭包皮炎(おちんちんの炎症)になっても、お薬で治り、繰り返すからといって重症になることはほとんどない。
- 小児の包茎手術は全身麻酔を必要とすることもあり、手術の合併症やリスクを考えると手軽に行うべきではない。
- 無理に皮をめくったりすると、かえって炎症を起こしやすくなる。
- 手術後、亀頭が露出されるようになると、まわりの子と見た目が違うことから、かえって精神的に不安定になったりすることがある。
以上の理由で、小児の包茎は安易に手術をすることはお勧めできません。
予防的に包皮の出口の部分を広げる方法として、中〜弱めのステロイドが入った軟膏を、出口を広げるように、内部にも入れるように、包皮をずりさげめくるように塗るとむけるようになり、仮性包茎の状態になります。無理にむくと、むけたまま戻らなくなることもありますし (嵌頓包茎)、炎症を起こすこともありますから必ず医師に相談した上で行ってください。たとえむけなくても、あまり心配してはいけません。決して無理にむいてはいけません。
更新日時:2010年07月20日 13時53分

尿路感染症って何ですか?
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
尿路、つまりおしっこの流れる道に何らかの細菌の感染が起きた病気が「尿路感染症」です。部位によって、尿道炎、前立腺炎、膀胱炎、腎盂腎炎等に分かれます。また、何も元になる病気のない単純性、元になる病気(例えば結石や癌等)がある複雑性に分かれます。
膀胱炎は女性に多い
女性は男性に比べ膀胱の位置が下にあります。そのため、尿道が男性より短く、3~4cmしかありません。そのかわり尿道が太く、入り口が肛門に近い位置にあります。このように女性は外からの細菌が侵入しやすい構造になっています。
膀胱炎になると、排尿時や終わり頃に下腹部や尿道に痛みや違和感を感じます。排尿後もまだ尿が残っている感じがしたり、トイレが近くなったり、尿が濁ったりします。ひどい時は血が混じったりします。このような症状があった時は、早めに泌尿器科を受診しましょう。検査としては、まず尿検査を行い、尿の中に白血球や赤血球が正常より多く出ていないかを見ます。同時に尿の培養の検査を行い、どんな菌が原因か調べます。最近では大腸菌でも、抗生物質に抵抗力を持つもの(耐性菌)が出現することがあり、最初に投与された抗生物質で症状が良くなっても、尿が完全に良くなるまで診療を受け続けた方が良いでしょう。
膀胱炎は水分を沢山とり、どんどん排尿することで良くなることもありますが、完全に良くなっていないと、結果的に繰り返すことになってしまうので注意が必要です。
男性は尿道炎、前立腺炎に注意
男性は女性と違い、尿道が長く屈曲していますから、膀胱炎ではなく尿道炎や前立腺炎になります。ただし、排尿時痛や頻尿、残尿感など女性の膀胱炎と症状に明らかな違いはありません。尿道から膿のような分泌物が出たり、包皮が腫れたりすることもあります。
多いのは大腸菌などの一般細菌の他に、クラジミアや淋菌といった性行為に関連する病原体もしばしば見かけます。原因となる病原体によって使用する抗生物質が異なってきますから、検査結果によっては薬を変えたり、注射や点滴に変更する必要も出てきますから、泌尿器科を受診すると良いでしょう。
熱が出たら、腎盂腎炎、前立腺炎 (男性)、精巣上体炎 (男性) に注意
女性の膀胱炎や、男性の尿道炎だけでは決して熱が出たりしません。熱が出た場合は、腎盂腎炎や男性では前立腺炎・精巣上体炎を起こしている可能性があります。これらに発展すると重症化する場合がありますので、注意が必要です。
更新日時:2010年07月15日 10時57分
ED(勃起障害)は生活習慣病
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
EDって何?
以前は全く勃起しないことを意味するインポテンツという言葉がありましたが、今では勃起するまでに時間がかかる、勃起の持続時間が短い、性交渉の途中で萎えてしまう、という状態を含めてED(勃起障害)といいます。
EDの原因は動脈硬化?
確かにEDには心の問題が大きく関わっていることもあります。しかしながらEDの発症には血管内皮から出るNO(一酸化窒素)が大きく関わっています。血管内皮に障害があると、NOの生産量が減って動脈硬化が進展し、1mm~2mmと細い陰茎の動脈(心臓や脳の動脈より細い)に最初の兆候が現れます。それがEDです。高血圧や高脂血症、糖尿病やメタボリック症候群と関連していることもしばしばあり、これらを発見する手がかりにもなります。
40歳が一つの曲がり角
血管内皮の障害は40歳位が境目とされています。この頃から動脈硬化が始まるようです。また、ストレスが多い現代社会においては交感神経が活性化した状態にあることが多く、リラックスした状態になりにくかったり、テストステロン(男性ホルモン)も40歳~50歳位から加齢と共に低下し、EDになりやすくなります。
EDの治療は?
EDにはNOが大きく関わっていると前述しましたが、この働きを間接的に助ける“PDE5阻害剤”が主に使われます。最近では勃起のみではなく動脈硬化や血管全般の機能改善の効果も注目されています。現在日本では3種類があり、持続時間や食事の影響等、それぞれに特徴があります。いずれも医師の処方が必要ですし、それ以外で入手したものは偽物の可能性もありますので注意してください。ただし、心臓等に持病のある方には適さない場合があります。また意欲や性欲等の減退もある場合は、他の病気も考えなくてはいけません。
更新日時:2010年05月17日 17時21分
健康診断で尿潜血陽性とは、どういう意味がありますか?
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
健康診断や人間ドックで尿潜血陽性と言われる方は、男性で3.5%、女性で12.3%にのぼると言われています。尿潜血陽性とは、尿の試験紙(市販もされています)で潜血反応(尿に血が混じっているかどうか)が1+以上であることを言います。日本泌尿器科学会血尿診断ガイドラインでは、このうち実際に治療すべき病気が潜んでいる確率は2.3%、膀胱癌などの悪性疾患に限ると0.5%であると言われております。しばしば「尿潜血が1+だから大丈夫」とか「1+が2+になったから怪しい」等と言われて来院される方がおられますが、基本的に1+以上は尿潜血が陽性であり問題がある可能性があるわけで、1+だから、2+だからというところでの議論はあまり意味がありません (ただし目で確認できる血尿は別格です)。では、どのような検査をすべきでしょうか?
- 尿沈渣:実際に尿中に赤血球があるかを確認します。
- 尿細胞診:尿中に癌細胞があるかを見ますが、膀胱癌の場合、敏感度(実際に癌があって、それを検出出来る確率)は60〜70%前後であるといわれ、見逃しもそれなりにあるというわけです。
- 超音波検査 CTなどの画像診断:腎臓の形や、腎臓の腫瘍、膀胱の腫瘍などの診断や尿の通り道以外に異常がないかを見ます。
どの方法が良いかは一長一短がありますから、泌尿器科でよく相談してください。この他に、尿路上皮癌(膀胱癌など)の危険因子に当てはまる方は膀胱内視鏡検査を勧めるべきであると、日本泌尿器科学会や米国泌尿器科学会のガイドラインでは推奨されています。(危険因子:喫煙、肉眼的血尿※目で見てわかる血尿、40歳以上の男性、化学薬品を使う職業、鎮痛剤多用、泌尿器科疾患など)
特に異常が見つからなかった場合でも、主治医の意見に従って、3〜6ヶ月毎に2〜3年は尿検査、超音波検査等で経過を見ていくと良いでしょう。特に肉眼的血尿の場合は膀胱内視鏡は重要です。最近は軟性膀胱鏡(従来よりやわらかい)が使われ、検査にはあまり苦痛を伴いません。
更新日時:2010年03月08日 15時25分
頻尿はすなわち過活動膀胱ではない!!
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
過活動膀胱について
頻尿の原因として最近話題なのは、過活動膀胱といわれるものです。高齢男性の場合は前立腺肥大症に伴うものが最も多いようです。女性の場合は骨盤底筋が年齢とともに弱くなることが原因であったりしますが、多くは原因が特定出来ません。症状は、昼間の頻尿 (8回以上)、夜間頻尿 (1回以上) の他に、急にトイレに行きたくなり我慢出来ない感じ (尿意切迫感) や間に合わなくて漏らしそうになる (切迫性尿失禁) などです。治療としては、高齢男性の場合は前立腺肥大症の治療をまず行います。女性の場合は抗コリン薬という膀胱の過剰な活動を抑える薬を用います。抗コリン薬で効果のない場合は他の病気の可能性もあり、歳のせいと諦めず、専門医に相談しましょう。
過活動膀胱以外の頻尿
膀胱知覚過敏(過知覚膀胱)
症状としては過活動膀胱と同じく昼間や夜間の頻尿を認めますが、急に行きたくなる感じや間に合わなくて漏らすようなことはあまりありません。どちらかというと、いつもトイレに行きたい感じがある、いつも下腹部に違和感を感じる、といった症状が続きます。昼間の頻尿の割に、夜間はあまりトイレに起きないといった方や、季節や食べ物に影響を受ける方もおられます。頻尿でも抗コリン薬であまり効果のない方は、この膀胱知覚過敏を考えても良いでしょう。膀胱知覚過敏がさらに悪化した状態が、間質性膀胱炎という、原因がよくわからない慢性膀胱炎といわれています。また男性の場合は慢性前立腺炎の場合もあります。
残尿(排尿した後に膀胱に尿が残る)が多い場合
残尿が多い場合も頻尿の原因となります。症状は昼間や夜間の頻尿の他に切迫感や切迫性尿失禁など過活動膀胱とよく似ています。通常本人に残尿感(残った感じ)はあまりありません。この状態を過活動膀胱と診断して抗コリン薬を飲み続けますと、よくならないばかりか残尿量が増え腎臓に悪影響を与えるようになりますので、専門医に相談する方が良いでしょう。
その他
膀胱癌や尿路結石でも頻尿が主症状となることがあります。
更新日時:2010年01月25日 12時04分

男性の前立腺肥大症は避けては通れない?前立腺肥大症とは?
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
前立腺は膀胱の出口付近で尿道を取り囲むようにある、精液などの成分を作る腺組織ですが、30歳~40歳位は24~25g程度の大きさで推移するといわれます。その後加齢に伴い、男性ホルモンが減少するにつれて縮小するのが生理的変化といわれていますが、縮小せずに肥大していくと前立腺肥大症になるといわれています。そして、男性の約半数以上で肥大する傾向があるともいわれています。しかし、前立腺が肥大したからといってすぐには病気とはいえません。前立腺が肥大し、症状を伴ってはじめて前立腺肥大症という病気になるのです。
症状とはどんなことですか?
- 「蓄尿症状」排尿の回数が増える。夜トイレに起きる。排尿が我慢できない。尿が漏れる。
- 「排尿症状」尿が出にくい、出ない。排尿の勢いが弱い。
- 「排尿後症状」尿が残った感じがする、残る。尿の切れが悪い。
どんな検査が必要ですか?
症状だけで前立腺肥大症と決めつけるのは危険です。症状が似ている他の病気もあります。以下のような検査で重症度判断や他の病気との区別をします。
- 「検尿」感染がないか? 血が混じってないか? など。
- 「超音波検査」前立腺の大きさは何g? 腎臓に影響はない?
- 「残尿測定」排尿後でも膀胱に残っている尿の量は何ml?
- 「血液検査」腎臓の働きは大丈夫? 前立腺癌の可能性は(PSA検査)?
- 「直腸診」癌のように硬いところはないか? 痛みはないか?
どのように治療しますか?
まず、薬物療法が試みられます。
- 「α1受容体遮断薬」交感神経から伝わる刺激をブロックして、前立腺の緊張を和らげ、尿を出しやすくします (種類は色々あります)。
- 「植物エキス、漢方など」前立腺の炎症を抑え、諸症状を緩和します。
- 「抗男性ホルモン薬」男性ホルモンの働きを抑え、前立腺を縮小させる効果があります。ED(インポテンツ)や前立腺癌マーカーのPSAを下げて、癌をマスクしてしまう可能性があります。
手術療法もあります。
- 「TURP (経尿道的切除術)」内視鏡のメスで前立腺を削り取る手術で、最もスタンダードな方法です。
- 「レーザー治療」レーザー光線を照射します。
その他、マイクロ波を用いた高温度治療、超音波を用いたHIFUなどもあります。
更新日時:2009年12月15日 11時26分
頻尿と膀胱知覚過敏~頻尿の原因~
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
過活動膀胱
頻尿の原因として最近話題なのは「過活動膀胱」と言われるものです。高齢男性の場合は前立腺肥大症に伴うものが最も多いようです。一方、女性の場合の原因は、骨盤底筋が年齢とともに弱くなるためであったりしますが、多くは特定できません。症状としては昼間の頻尿 (8回以上)、夜間頻尿(1回以上)の他に、急にトイレに行きたくなり我慢できない感じ(尿意切迫感)や間に合わなくて漏らしそうになる(切迫性尿失禁)などです。治療としては高齢男性の場合は前立腺肥大症の治療をまず行います。女性の場合は抗コリン薬という膀胱の過剰な活動を抑える薬を用います。抗コリン薬で効果のない場合は他の病気の可能性もあり、歳のせいと諦めず、専門医に相談しましょう。
膀胱知覚過敏(過知覚膀胱)
膀胱の知覚過敏という状態は以前より指摘されていましたが、最近、東京大学の本間教授らにより「過知覚膀胱」という概念が提案されました。症状としては過活動膀胱と同じく、昼間や夜間の頻尿を認めますが、急に行きたくなる感じや間に合わなくて漏らすようなことはあまりありません。どちらかというと、いつもトイレに行きたい感じがある、いつも下腹部に違和感を感じる、といった症状が続きます。昼間の頻尿のわりに夜間はあまりトイレには起きないといった方や、季節や食べ物に影響を受ける方もおられます。頻尿でも抗コリン薬であまり効果ない方は膀胱知覚過敏を考えても良いでしょう。膀胱知覚過敏がさらに悪化した状態が、間質性膀胱炎という原因がよくわからない慢性膀胱炎といわれています。治療法は各人で異なってきますので、専門医に相談すべきでしょう。
残尿(排尿した後に膀胱に尿が残る)が多い場合
残尿が多い場合も頻尿の原因となります。症状は、昼間や夜間の頻尿の他に切迫感や切迫性尿失禁など、過活動膀胱とよく似ています。通常、本人に残尿感(残った感じ)はあまりありません。この状態を過活動膀胱と診断して抗コリン薬を飲み続けますと、よくならないばかりか、残尿量が増え、腎臓に悪影響を与えるようになりますので、専門医に相談する方が良いでしょう。
更新日時:2009年10月22日 10時25分

夏に多い女性の膀胱炎と男性の尿道炎
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
膀胱炎は女性に多い
女性は男性に比べ膀胱の位置が下にあります。そのため尿道が男性より短く3~4cmしかありません。そのかわり尿道が太く、入り口が肛門に近い位置にあります。このように女性は外からの細菌が侵入しやすい構造になっています。
普通は多少の細菌が侵入しても、繁殖する前に尿と一緒に排出されてしまいます。しかし、体調が悪かったり、冷えたり、尿を我慢しすぎたりした時に菌が増殖し膀胱炎になるわけです。夏は特に汗をかいて尿量が減るので、なり易くなります。大腸菌は誰もが持っている菌で、腸内にいると病原性はありませんが、体の他の部分に入ると化膿性の炎症を起こします。
膀胱炎になると、排尿時や終わり頃に下腹部や尿道に痛みや違和感を感じます。また、排尿後もまだ尿が残っている感じがしたり (残尿感)、トイレが近くなったり (頻尿)、尿が濁ったりします。ひどい時は血が混じったり (血尿) します。このような症状があった時は、早めに泌尿器科を受診しましょう。検査としては、まず尿検査を行い、尿の中に白血球や赤血球が正常より多く出ていないか調べます。この時点で膀胱炎と診断できれば抗生物質を投与します。同時に尿の培養の検査を行い、どんな菌が原因か調べます。培養の検査結果が出るまでには5~7日間を要します。最近では大腸菌でも、膀胱炎によく使われる抗生物質に抵抗力を持つもの (耐性菌) が出現することがあり、最初に投与された抗生物質で症状が良くなっても、再度診療を受けて原因菌を確認し、尿が完全に良くなるまで診療を受けた方が良いと思います。膀胱炎は水分を沢山取り、どんどん排尿することで良くなることもありますが、完全に良くなっていないと結果的に繰り返すことになってしまうので、泌尿器科を受診してみると良いでしょう。
男性の尿道炎の多くは性行為感染症
男性は女性と違い、尿道が長く屈曲していますから、膀胱炎ではなく尿道炎や前立腺炎になります。排尿時痛や頻尿、残尿感など、女性の膀胱炎と症状に明らかな違いはありません。尿道から膿のような分泌物が出たり、包皮が腫れたりすることもあります。女性の膀胱炎との違いは性行為に起因していることが多い点です。もちろんそうでない場合もありますが、思い当たることがある人もない人も、気になったら泌尿器科を受診すると良いでしょう。多いのは、大腸菌などの一般細菌の他、クラミジアや淋菌といった性行為に関連する病原体もしばしば見かけることです。原因となる病原体によって使用する抗生物質が異なってきます。検査結果によっては薬剤を変えてさらに投与したり、注射や点滴に変更する必要も出てきますから、泌尿器科を受診すると良いでしょう。尿道炎を放置しておくと前立腺炎や精巣上体炎になり、高熱が出たり、激しい痛みが出る場合もありますので注意が必要です。
更新日時:2009年08月28日 09時35分

急増する前立腺癌
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
前立腺癌は中高年の男性に多くみられる癌です。アメリカでは既に10年以上前から、男性の癌の中で罹患率(病気に罹る比率)が最も高く、死亡率では第2位になっています。日本でもライフスタイルの変化に伴い、近年急激に患者数が増えています。2020年には2000年の2.8倍になり、肺癌に続いて第2位の罹患率になると予想されています。前立腺癌は早期に発見し適切に治療すれば、完治も期待できる病気ですから、今後ますます早期発見が重要になってきます。特に前立腺癌のリスクの高まる50歳以上の男性や、家族に前立腺癌の人がいる男性は、定期的に検診を受けることが大切です。
前立腺癌とは?
前立腺とは、男性だけが持っている臓器で膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように存在しています。精液の一部を作り、精子の運動機能を助ける働きをしています。この前立腺に出来る癌が前立腺癌です。前立腺癌の多くは比較的進行が緩やかですが、初期には特徴的な症状がないため、発見が遅れがちになります。
前立腺癌と前立腺肥大症
前立腺癌以外の前立腺の病気に前立腺肥大症があります。これは加齢のため前立腺が肥大し、尿道を圧迫し、排尿の勢いが弱くなったり、尿の回数が増えたり、夜トイレに起きるようになったり、尿の切れが悪くなったり、残尿感が出現する病気です。どちらも中高年の男性に多く、前立腺肥大症が前立腺癌になるわけではありませんが、自覚症状がよく似ています。そこで重要なのはPSA検査や直腸診、前立腺超音波検査などです。
PSA検査とは
前立腺癌を発見するための血液検査で、PSA値が高いほど前立腺癌が疑われます。PSAとは前立腺で産生されるたんぱく質で、健康な人の血液中にも存在します。したがって前立腺肥大症や前立腺炎、加齢でも上昇しますが、前立腺癌で特に高くなるため、前立腺癌の早期発見の指標として用いられています。
直腸診とは
医師が肛門から指を入れ、直腸の壁越しに前立腺に触れて、その大きさや硬さから前立腺癌の可能性を探る検査です。PSAの上がらない前立腺癌もありますので、重要な検査です。
これらの検査で前立腺癌が疑われる場合には、前立腺の組織検査(前立腺生検)が必要になってきます。いずれにしても、心当たりのある方は、泌尿器科を受診することをお勧め致します。
更新日時:2009年06月23日 11時03分

尿失禁─おしっこが漏れる─
南大沢メディカルプラザ 泌尿器科 伊藤貴章
今回は、尿失禁について、その症状別にお話しします。
尿意のためトイレに間に合わず、漏れてしまう(切迫性尿失禁)
トイレが我慢できないような強い尿意を尿意切迫感といい、そのためにトイレに間に合わず少し漏れてしまうことを切迫性尿失禁といいます。この状態は女性にも男性にも見られ、年齢と共に増加する傾向があります。この原因としては、トイレが近い状態を伴う過活動膀胱や、排尿に勢いがないという症状を伴ったりする前立腺肥大症や前立腺炎などがあげられますがはっきりしない場合も多いようです。検査としては、残尿測定で排尿後に尿が膀胱に残らないかどうかや、排尿の勢いをみる尿流測定、他の疾患がないか確認したり、前立腺の大きさをみるために超音波検査を行ったりします。治療としては膀胱の過敏な動きを抑える抗コリン剤というのが主に用いられます。しかし前立腺肥大症のある場合では、まず前立腺肥大症の治療を行うべきで、抗コリン剤は慎重に用いなければなりません。また、緑内障のある方では抗コリン剤の投与は注意すべきです。
せきやくしゃみなど、お腹に力が入った時に漏れてしまう(腹圧性尿失禁)
お腹に力が入った時尿が漏れ出てしまうことがある状態を腹圧性尿失禁といいます。これは女性に多く、出産や加齢のために膀胱や子宮を支えている筋肉(骨盤底筋群)が弱くなることが原因です。検査としては失禁の程度をみるためパッドテストを行います。その他残尿量をみる残尿測定や尿流測定、超音波検査などを行います。治療としては、骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操を行ってもらい、括約筋のしまりをよくするためのβ刺激剤などを投与します。これで改善しない場合や重症例では手術が必要になる場合があります。
排尿後に少し尿がたれてしまう、尿の切れが悪い(排尿後滴下)
排尿後に少し尿がたれてしまい、下着を汚すことがあるような状態を排尿後滴下といいます。排尿後に残尿があったり、尿の勢いが悪いために起こったりします。男性では前立腺肥大症や前立腺炎の方に多いようです。男性の場合、尿道が屈曲しているため、残尿があまりなくても尿道の屈曲した部分にたまった少量の尿が排尿後にたれてしまうことがあります。残尿測定や尿流測定、超音波検査等を行い前立腺の状態をみてそれにあった治療を行います。
状態に関係なく尿がたらたら漏れる(溢流性尿失禁)
様々な原因により膀胱の尿を排出する機能が低下したり、尿道の何らかの閉塞により、高度な尿の排出障害があるため、膀胱から尿を出し切れず、ダムから水があふれ出るように膀胱から尿があふれ出る状態をいいます。症状だけでは腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁と間違える可能性もあり、様々な検査が必要です。治療も原因や状況に応じて様々ですが、放置しておくと腎臓の働きにも影響を与える可能性があり、注意が必要です。
機能性尿失禁
排尿の機能以外が原因(例えば脳梗塞や認知症など)でトイレに行くのが困難であったり、排尿の動作に問題が起きたりする場合をいいます。元になる疾患の治療や、周囲の方の介護が重要になります。
更新日時:2009年05月07日 13時30分