腰部脊柱管狭窄症
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
今回は腰部脊柱管狭窄症の脊柱の変形を伴うケースについて話します。加齢で腰椎の正常な並びが崩れてくる方がいます。腰椎が前方にずれる「腰椎変性すべり症」、腰が後ろカーブ(正常は前カーブ)になる「腰椎変性後弯症」、腰椎が回旋・横すべりする「腰椎変性側弯症」などです。脊柱管が狭く神経の圧迫を伴う場合は、広義の腰部脊柱管狭窄症になります。
投薬や筋力訓練などの保存療法で、腰痛・下肢痛が日常生活に支障をきたさない方は手術に至りません (通常の腰部脊柱管狭窄症と同じ)。保存療法が無効な方は手術を選択します。立位で上半身が横や前に倒れそうになる方は「オフバランスがある状態」といい、手術に至る方が多いです。
手術は神経の除圧術(下肢症状のみの方)と、腰椎の数個を1つにする除圧固定術があります。強い腰痛の方や不安定な腰椎の方は固定術を選択します。オフバランスがある方は、それを正すように矯正し固定します。自覚症状、神経学的所見、年齢や各種画像検査を組み合わせて、脊椎外科医は患者さんに一番よい方法での治療を考えます。
更新日時:2010年07月26日 14時00分
頚椎症性脊髄症とは(3)
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
頚椎のトンネルが狭くなり、脊髄が圧迫される「頚椎症性脊髄症」の手術法について話します。
ほとんどの手術は後方からの椎弓形成術になります。これは頚椎の後ろの屋根にあたる椎弓の形を変えてトンネルを広げ、脊髄を除圧します。椎弓の片方を蝶番にして開く方法(片開き式)と、椎弓の両端に溝を作り、真ん中を開いて観音開きにし、空いた所に人工骨をはめる方法(両開き式)があります。脊髄を触らない比較的安全な手術です。
手術では、6、7割は症状の改善が期待できます。ただ、長い年月症状があったり、術前の症状が重い場合、また、画像で圧迫が激しかったり脊髄の質が悪い場合や超高齢の方は改善が劣ります。
しかし、手術のもう一つの目的は、今後の悪化を予防することでもあります。圧迫されている脊髄は「易損性」といって微小な外力(例えば、転んで首がふられる等)で脊髄の不全マヒという重大な事態になってしまいます。脊髄の圧迫を解消しておくことは大事です。
術後は、2日目にはリハビリを行って装具なしで歩行が開始できます。そして約2週間ほどで退院が可能となります。
更新日時:2010年06月03日 10時20分
頚椎症性脊髄症とは(2)
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
頚椎のトンネルが狭く脊髄が圧迫される「頚椎症性脊髄症」の治療についてお話しします。わずかな手足のしびれだけで症状が軽く、MRIで脊髄の圧迫がきつくない方は、薬やリハビリ等の保存療法で症状を和らげます。
しかし、保存療法は、実際の脊髄の圧迫を解消するものではありません。圧迫がきつい場合は、基本的には手術で脊髄の圧迫を解消します。圧迫がきつい、壮年の方は、たとえ症状が軽くても手術を勧めます。年齢を経て頚椎が老化すると、さらに圧迫が強まり、たとえ圧迫が変わらなくても年月が経てば脊髄はまいってしまうからです。また、圧迫されている脊髄は「易損性」といって、軽微な衝撃にも弱く、四肢不全麻痺になる恐れがあるので、予防の意味でも手術をします。年配の方でも進行性の症状の方や、握力の低下、箸・ボタン掛けが不自由、歩行障害、排尿障害のある方は手術をお勧めします。特に若い方は早期の手術を強く勧めます。
症状の程度と進行性、年齢、画像所見を組み合わせて、手術すべきかこのまま様子をみるべきかを慎重に決めます。
更新日時:2010年04月26日 15時15分
頚椎症性脊髄症とは(1)
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
今回から頚椎症性脊髄症についてお話しします。前回までお話しした腰部脊柱管狭窄症と同じように、頚椎が原因で神経の圧迫が生じる病気です。頚椎にもトンネルがあり、その中を脊髄が通っています。脊髄は頭の命令を手足に伝えたり、手足の感覚を頭に送るといった役割を果たしています。
しかし、加齢が原因で脊髄がトンネルの中で圧迫されることがあります。骨でできたトンネルの前後径が狭くなったり、前方からいくつかの突出した椎間板、後方から厚くなった靭帯により、脊髄は数箇所で前後に圧迫され、扁平になります。その状態で月日が経ったり、また軽い外傷がきっかけとなって症状が出てくるのです。
症状は軽度の場合、手足のしびれや、首を後ろに反るとしびれたり、肩から首にかけての痛みが強くなります。重症になるとボタンが留められない、字がうまく書けない等の巧緻運動障害、足がつっぱったり、転びやすくなる歩行障害、排尿障害などを引き起こすこともあります。
これらの自覚症状がある方は、まず、脊椎外科で診察、画像検査を受けてみてください。
更新日時:2010年03月29日 13時09分
腰部脊柱管狭窄症とは(3)
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
腰部脊柱管狭窄症の続きです。腰部脊柱管狭窄症は、年齢とともに骨が余分に増えたり、靭帯が厚くなってしまい、神経のトンネルの役割を果たしている脊柱管が狭くなることで、神経を圧迫し、下肢に痛みやしびれ、または間欠跛行といった症状が出る病気でしたね。
その治療法は、まず保存療法を組み合わせて行います。しかし、保存療法で満足いく改善が得られなかったり、下肢の麻痺や排尿障害がみられたら、年齢やご本人の希望により手術を検討します。 手術のほとんどは、椎弓切除術という背中から神経を圧迫している骨や靭帯を取り除く“除圧手術”を行います。
また、腰椎の不安定性による腰痛がある場合やすべり、側弯の矯正が必要な時は脊椎の固定手術を追加します。
症状と画像によって、除圧手術を行うだけの場合と固定手術とを合わせて行う場合があります。除圧手術だけなら術後2週間程で、固定手術の場合は3~4週間程で退院が見込めます。誰もがなりうる病気なので、症状が出たら、脊椎・脊髄の専門家にご相談ください。
更新日時:2010年03月01日 15時53分
腰部脊柱管狭窄症とは(2)
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
前回の続きです。腰部脊柱管狭窄症とは、年齢と共に骨や椎間板、靭帯が厚くなり、神経のトンネルの役割を果たしている脊柱管が狭くなることで、神経を圧迫して、下肢に痛みやしびれといった症状が出てくる病気でしたね。
下肢の痛みやしびれ、間欠跛行が出てきたら、この病気を疑った方がいいでしょう。ただし、下肢の動脈が詰まる「閉塞性動脈硬化症」との鑑別が必要なので、症状が出たら整形外科を受診してください。
さて、治療法をお話しします。病院では診察後、レントゲン、MRIの検査を行います。腰部脊柱管狭窄症と診断された場合、内服薬 (鎮痛剤や神経の血行を改善する薬)、外用薬、点滴、各種ブロック注射、装具、リハビリ等の保存療法を組み合わせて行います。
ただし、保存療法で患者様の満足いく改善が得られなかったり、下肢の麻痺や排尿障害がみられたら、年齢や患者さんとご家族の希望にもよりますが、手術を検討します。こうした症状が出てきたら、抱え込まず、脊椎、脊髄の専門医にご相談ください。
更新日時:2010年02月02日 17時34分
腰部脊柱管狭窄症とは(1)
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
脊椎(背骨)の役割をご存知ですか? 脊椎には、3つの役割があります。
- 体を支える柱
- 神経の通り道となるトンネル状の入れ物
- 脊椎(頚椎7本、胸椎12本、腰椎5本)のそれぞれが連結し、体幹の動きを担う役割を持っています。
今回、お話しするのが、この脊椎の病気です。「腰部脊柱管狭窄症」といって、中高年の方に多く見られます。
体や骨は、年齢と共に老化していくため、60歳前後になると骨や椎間板、靭帯が厚くなってしまい、トンネルの役割を果たしている脊柱管が狭くなります。そして神経を圧迫し、締め付けることで、足の痛みやしびれといった症状が出てきます。
この症状は、知覚・運動・自律神経に影響が出てきます。足の痛み、しびれ、感覚が鈍くなる、足に力が入らない、筋力の低下、脱力、残尿感、尿漏れ等です。そういった症状が、歩くだけで出てくる、また歩けば歩く程病状は悪化し、少し休めば治る「間欠跛行」という状態が続いてしまうのが特徴です。治療法等については、次回お話しします。
更新日時:2010年01月06日 12時05分