夏のスキンケア
多摩ガーデンクリニック 皮膚科 梶山理嘉
夏本番、海に山に出かける機会が多くなってきました。真夏の太陽は容赦なく私たちに降り注ぎ、肌のあらゆるトラブルが診察室を賑わす季節の到来です。
夏に最も気になるのは、紫外線対策と汗対策でしょうか? 紫外線については一年を通しての対策が必要ですが、特にこの時期は屋外の活動が増えるので、日焼け止めをしっかり塗ることが重要です。途中で塗り直し出来るように準備して出かけましょう。
汗によるかゆみに対しては、汗をかいた時にあまり間をおかずに濡れたおしぼりタオルなどでそっと押さえるように拭いて、保湿ローションなどを塗布しておくと、最小限に防げるでしょう。特に肌と肌が密着して擦れやすいところは注意しましょう。乾いたタオルで何回も汗を拭っていると、かさかさしてかゆみが出ることが多いので気をつけてください。
その他、虫さされや水虫、とびひなども多く見られます。虫さされは野外活動にはつきものですから、虫が多い所での活動は皮膚を露出しないことが最も賢明です。虫よけ剤の利用は殺虫成分のない虫を寄せ付けないタイプのものを選べば、お子さんへの使用も安心です。水虫は高温多湿の条件で増えやすいので、足むれは大敵。一日一度は石鹸で足をきれいに洗うと菌の皮膚への侵入を防ぐことができるといわれています。とびひはもともと何かの皮膚炎があるところに細菌が侵入しやすくなることから始まります。あせも、湿疹、虫さされなどで掻き壊してジクジクした時が要注意です。今まで皮疹がなかったところに広がってきたら、飲み薬が必要です。皮疹部はガーゼなどで覆っておくと良いでしょう。
基本は肌の清潔と保湿です。夏場も冷房などで皮膚が乾燥します。汗をかくからといって保湿しないで良いと考えるのは間違いです。汗によって洗い流されてしまう皮脂をむしろ補う必要があるのです。皮脂は角質の水分を逃さない役割をもっています。足りなくなれば保湿クリームでのケアが必要です。かゆみが出る前に対策を忘れずに。
更新日時:2010年08月03日 10時15分
帯状疱疹という病気
多摩ガーデンクリニック 皮膚科 梶山理嘉
初夏を迎え、皮膚科の診察室は込み合うようになってきました。この時期に増えてくる皮膚病の中に、ウイルスが原因で起こる「帯状疱疹」という病気があります。多くの皮膚の病気が痒みや発疹などの症状で起こってくるのに対して、帯状疱疹は痛みが出てくるのが特徴的で、ウイルスが神経炎を起こすことによる神経痛がその本体です。発症時に発疹がないことが多く、皮膚科にかかるのが遅くなりがちなのですが、症状を知っていれば早く見つけることができます。
帯状疱疹の痛みはある範囲に帯状に出て、体の左右のどちらかに限局しています。痛みの度合いは次第に強くなる傾向があり、そのうちに痛みの部位に沿うように赤みが出て水疱になっていきます。おおよそ治癒まで1ヶ月かかります。もともとみずぼうそうのウイルスによって引き起こされるもので、子どもの頃みずぼうそうにかかったり予防接種をしてできた免疫が衰えると、神経の中に潜んでいたウイルスが数を増して神経炎を起こすのです。
最近ではこの帯状疱疹にかかる高齢者が増える傾向があり、免疫力の低下が問題とされています。子ども達の中でみずぼうそうが流行すれば、下がってきた免疫が再度作られ、その後の帯状疱疹の発症を抑えることができると考えられます。しかし、子ども達が予防接種をして罹患率が少なくなった現在では流行することが少ないために免疫力の補強がなされず、高齢者に対しても50歳~60歳前後に予防接種をするべきではないかといわれるようになりました、永久免疫という考え方はもはや通用せず、予防接種は大人にも重要になってくると思います。ポイントは早期の治療と予防です。痛みの後遺症を残さないためには個々で対策をとっていく必要があるでしょう。
更新日時:2010年07月06日 17時44分
花粉症性皮膚炎
多摩ガーデンクリニック 皮膚科 梶山理嘉
花粉症は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの鼻炎症状と眼の痒み・涙目などの眼症状がよく知られていますが、皮膚に痒みを起こしてくるものを花粉症性皮膚炎と呼んでいます。これは、花粉が顔や首等の露出部の皮膚に付着することが原因と考えられるもので、花粉症の鼻や眼の症状に先行して生じることがあり、花粉が原因だと気付かないこともあります。特徴は、
- 花粉の季節に起こり他の季節にはないこと
- 顔・眼の周り・首等露出部に出ること
- 赤みと痒みがあり腫れぼったい蕁麻疹のような出方が多いこと
等です。またアトピー性皮膚炎の患者さんの30%に皮膚炎の増悪が見られるといわれており、皮膚のバリアー機能(皮膚の角質層が外部からの侵入を防ぐ機能)が衰えていることが影響しているのではないかと考えられています。肌の乾燥や洗顔、クレンジング等による肌荒れ等も皮膚のバリアー機能を低下させることがあり、花粉症性皮膚炎の誘発原因になります。
予防は、スキンケアによる保湿と、花粉の付着をできるだけ避けることです。具体的には、
- 洗顔は擦りすぎず保湿をしっかりすること
- 帰宅時にすぐに洗顔しておくこと
- 帽子等で髪に花粉がつくのを防ぐこと
- 洗濯物を外に干さないこと
等です。治療は花粉症と同様に考えますが、皮膚症状の緩和には一時的にステロイドなどの外用剤を使います。
多摩地区はスギ花粉飛散が多い地区です。例年症状が出る場合は、あらかじめ抗アレルギー剤を内服し予防しておくと良いでしょう。
更新日時:2010年04月05日 11時09分
冬の水虫
多摩ガーデンクリニック 皮膚科 梶山理嘉
冬場に多い皮膚トラブルの一つに、皮膚の「かさかさ」があげられると思います。気温が低く、乾燥した空っ風が容赦なく肌の表面から水分を奪っていくのですから、無理もありません。
しかし、ひと口に「かさかさ」といっても皮膚科の病気から考えると、色々な疾患から生じている可能性があります。アレルギーの代表格のアトピー性皮膚炎や、加齢による皮脂欠乏性皮膚炎等々があげられますが、痒みを伴う疾患なので患者様はこちらがお勧めしなくても受診してくださいます。
それに対して痒みがあまりないのが、足などの「かさかさ」です。冬だから皮膚が乾燥して硬くなっているのだと簡単に考えがちですが、調べてみると「水虫」が潜んでいることがあります。足底全体に白く粉を吹くような角質が厚くなっているような時は可能性が大です。このような状態を角質増殖型の水虫と呼んでいます。ご自分で判断が付きにくいので、皮膚科で診断してもらうことをお勧めします。
最近では爪の水虫は随分知名度が上がり、受診される方も多くなりました。爪水虫も同様に症状が乏しく、爪に濁りが出てくるのが特徴です。角質増殖型の水虫から爪水虫に発展することがあるようです。早めに発見して治療しておきましょう。
夏場のものとばかり思われがちな水虫ですが、毎年繰り返し出る方が多い理由は、冬場の治療にかかっているのかもしれません。長年つき合ってきた水虫に、そろそろさよならしませんか?
更新日時:2010年02月15日 14時32分
キズの手当てについて〜常識の落とし穴〜
多摩ガーデンクリニック 皮膚科 梶山理嘉
ケガや火傷を負った時に出来るキズは、その形や深さによって治癒するまでの間に様々な反応が現れてきます。深いキズの場合は外科的処置が必要になりますが、比較的浅いキズは、そのうち治ると放っておかれがちです。しかし、思いのほか日数がかかったり、傷痕が残ったりすることもあります。傷痕を残さず早く治したいという観点から、以前の治療法が見直されるようになってきました。
まず、常識と考えられていたキズの「消毒」について、必要ない時はしない方が良いということです。消毒液は殺菌作用を持つと同時に、皮膚の再生のために必要な細胞にも有害であるため、治癒を遅らせてしまう可能性があるからです。受傷して直後の化膿していない時は、消毒せずに水で洗い流すだけで良いと考えられています。
もう一つ重要な常識の誤りがあります。キズが出来ると皮膚組織周囲からジクジクとした透明な液体が滲み出てきますが、これを化膿したと誤解して、傷口を乾かした方が良いと一般に考えられてきました。しかし、最近では湿潤療法といってキズを乾かさないでラップフィルムなどで被覆するやり方が良いと言われるようになったのです。これは傷口に滲み出たジクジクした液体に皮膚の再生を促進する作用があることがわかってきたからです。乾かさないと膿むというのは間違いで、細菌感染を起こしてもすぐに水で洗い流して交換しておけば良いのです。この方法は傷口を外界から保護する利点もあり、ガーゼがキズに貼り付いて、取り替えるたびに痛みを我慢する必要もありません。ただし、化膿しているかどうかの判断は難しいので、早めに一度来院してください。火傷の時は冷やして水疱を破らないようにしてご来院ください。
更新日時:2010年01月14日 03時47分