
混合診療とピロリ菌感染
南大沢メディカルプラザ 消化器内科 木村一史
現在は、経鼻内視鏡ができるようになり、検査中の嘔吐反射が少なくなり、検査中の患者様と話すことができるようになりました。それで、検査中に胃の状態を説明しています。胃炎の所見があり、それを説明すると、患者様は「どうして胃が荒れているのでしょうか?」と聞いてきます。医師が「恐らく、ピロリ菌感染によるものだと思います」と説明した時に、「じゃあ、ピロリ菌の検査をお願いします」と言われたら、大変です。
ピロリ菌の検査は、現在のところ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の人にしか保険診療が認められていなく、潰瘍がなくてピロリ菌の検査をすることは、その検査の部分を自費(患者様の負担)でとしても、混合診療になるため、保険のルール上、内視鏡検査からのすべてを自費扱いにしなければならなくなるのです。
患者様にこのようなことを検査中に説明しても納得していただけるはずがありません。そもそも、混合診療禁止制度が何故あるのかを自分でさえ理解できていないので、患者様にもうまく説明できません。インターネットで調べると、混合診療が禁止されているのは、以下の理由によるようです。
- 所得に関わらず平等に一定水準の医療。
- 患者をエビデンス(根拠)のない、法外な治療から守る。
- 結果的に医療費の削減になる。
どうして、支払い能力のある人が、より高度な医療を受けられないのかは、はなはだ疑問であります。「潰瘍の人以外は、等しくピロリ菌を持っていなさい」ということが、現在の保険診療の意図するところでしょうか。
多くの研究報告より、ピロリ菌除去が胃がんの予防に寄与することは明らかです。そして、日本ヘリコバクター学会のガイドラインも、除菌の対象者はすべて感染者としています。除菌することで、胃がんや胃潰瘍患者が減るので、国家的医療費の削減になるという試算も明らかになっています。
インフルエンザのように、症状のある人・感染している人すべてに検査治療ができるように、ピロリ菌も自由に診療することを認めてほしいものです。全ての人に難しいのなら、せめて、内視鏡検査をされる人には検査することを認めていただきたい。
B型肝炎とC型肝炎は、感染予防のため内視鏡検査前に検査できることになっています。ピロリ菌は肝炎ウイルス以上に非衛生的な検査により感染する病原体です。肝炎ウイルスが内視鏡感染し、急性肝炎の原因になると同様に、ピロリ菌の感染により、検査後に急性胃粘膜病変(胃がひどく荒れた状態)になる可能性があります。ピロリ菌感染は肝炎ウイルスと同じ感染症なのです。ですから、内視鏡検査前にするべき検査なのですが、この感染症が不運にも胃カメラ検査の目的と関連するために、混合診療の禁止という障壁にあってしまい、自由に検査できないのが現状です。
このように一般の診療においては自由にピロリ菌の検査治療が難しいため、ピロリ菌についてご心配な方は、次のようにピロリ菌除菌外来をしていますので受診ください。
更新日時:2010年06月07日 18時20分
お口の健康161─やっぱり予防歯科(61)
あきいけ歯科医院 院長 秋池成律
前回は「ミュータンス菌には耐酸性がある」というお話をしました。さらに、緩やかな酸性度の変化には適応能力があることがわかっています。だらだら食事などで糖をいつも摂取しているとムシ歯になることはうなずけますね。また歯磨きを怠りバイオフィルムを壊さないでおくと、さらに、酸に強くなるようです。
また、バイオフィルムの膜成分が薬の到達を妨げたり、薬の働きを抑えてしまいます。さらに、バイオフィルム内では細菌の栄養素の摂取が抑えられ、薬に対する感受性が低下して、うがい薬や抗生物質の作用も及びにくくなり、さらには細菌に抵抗力を増強させています。バイオフィルムが細菌2個分の厚みになると、薬の到達速度は細菌の個数の2乗分(4倍)遅くなるとの報告があります。よく磨き定期的にクリーニングに通いましょう。
更新日時:2010年06月03日 10時40分
脂肪肝6
井上内科クリニック 院長 井上智雄
脂肪肝から、進行すると肝硬変や肝細胞癌を合併する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症する過程には、複数の要因が関与すると考えられています。代表的要因に酸化ストレスがあります。前回、脂肪酸代謝が脂肪肝の発症に重要であるとお話ししました。脂肪酸は細胞内でミトコンドリアやぺルオキシソーム、ミクロソームなどの細胞内小器官で酸化され消費されます。過剰な脂肪酸を酸化処理する過程で反応性の強い活性酸素種(ROS)が造られます。このROSによる細胞障害を酸化ストレスと呼び、ROSは肝細胞を傷害し肝線維化を誘発し、DNAを傷害し発癌に導きます。
皮膚科医より一言
シミやニキビ跡などの皮膚の浅い部分の色素沈着にはハイドロキノンが有効で、浸透性を高めたローション製剤もあります。刺激性があるため使い方には注意が必要です。
更新日時:2010年06月03日 10時36分
抱きしめる
多摩海上ビル診療所 院長 飯島敏彦
最近、家族内の凄惨な事件が後を絶ちませんね。私は、社会の絆の破綻が一つの原因で、その綻びの責任は大人にあると思います。もう亡くなりましたが、田舎医者の叔父は、子どもの診察時には、最後に必ず膝に座らせて頭を撫ぜ、母親に「お子さんを一日一回は強く抱きしめてください。お子さんは必ずあなたに愛情を深く感じ、心豊かに育ちます」と話しました。その子の小学校入学時には「この辞書を早く使えるように努力しなさい」と言って、国語辞典をプレゼント。家族、地域の絆の中で子ども達は育まれていたのです。そんなことを思い出しながら最寄駅の改札を出ると、傘を三本持った人待ち顔の母子がいました。急に降り出した雨に、お父さんの傘を持ってきたのでしょう。お子さんの顔が凛と見えました。今夜は孫娘を強く抱きしめよう、と家路を急ぎました。
更新日時:2010年06月03日 10時33分
猫の肥満症と糖尿病
クラーク動物病院 八王子医院 獣医師 田中計至
近年、嗜好性の高いペットフードの増加や室内飼育環境での運動不足により、体重増加に悩む猫が増えてきています。猫の肥満症は糖尿病の発症と深い関連があります。肥満は、体内のインスリン分泌を低下させ、さらに利用効率も低下させてしまいます。多飲多尿や、食べているのに体重が減少するなどの症状が見られる糖尿病は、そのままにしておくと腎臓や肝臓病などの合併症を引き起こす危険性があり、殆どの場合でインスリン療法や食事療法が生涯必要となります。
肥満にお悩みの猫は、定期的に動物病院で血液検査や尿検査等を受けることをおすすめします。糖尿病のリスクを減らす為、獣医師と相談の上、目標体重を決めて、ダイエットしましょう。おもちゃ等を用いて運動を行うとともに、1日の給与カロリーを制限して食事を与えることが重要です。
更新日時:2010年06月03日 10時32分
インプラントは総合力
京王堀之内阿部歯科医院 歯科医師 多田大樹
骨結合型チタン製インプラントが登場してから40年以上が経ちます。今ではインプラントはブリッジや入れ歯に代わる欠損補綴の方法として広く受け入れられるようになってきました。20年、30年を超す長期症例も数多く報告されております。 さらに、インプラントに関係する技術や材料も日々進歩し続けており、インプラント治療の予知性は非常に高いものになってきました。
インプラント治療は歯科医師としての総合力を必要とする治療です。従来の治療である歯周病や咬み合わせ、外科、入れ歯やかぶせ物の治療、それらの技術が基本となり、その上に再生療法等の先端医療の技術が必要となります。そして最も大切なのは、倫理・道徳といった人間力です。当院では、このような総合力をもって、インプラント治療を行ってまいります。
更新日時:2010年06月03日 10時30分
新しいワクチン(2) 接種間隔
おがわクリニック 院長 小川愛一郎
前号でお話ししましたが、最近相次いで新しいワクチンが承認されました。これらは月齢や年齢により複数回接種が必要で、従来のワクチンスケジュールに組み込むと膨大な接種回数になりますが、同日接種によって回数を減らすことができます。欧米では日本ほど厳密な規制がなく、
- 生ワクチン同士は同日、また4週間以上あける
- 生ワクチンと不活化ワクチンはどちらが先になっても接種間隔に規制はない
- 異種の不活化ワクチン同士は同時でも、いつでも接種可能
なため2~3種類の同日接種は日常的に行われています。日本でも添付文書上「医師の判断で」同日接種可能となっているので、例えばDTPにHib、おたふくと水痘などを組み合わせることが可能です。同日接種でも免疫効果に差はないので、一度主治医と相談なさってみてください。
更新日時:2010年06月03日 10時27分
在宅医療39
武島内科クリニック 院長 武島英人
6月、そろそろ梅雨ですね。在宅医療は主に高齢の患者さんが対象となるため、不意のオンコール(急変を知らせる電話)をしばしば経験します。特に本年は、5月のような温暖な時期に感冒が流行ったものですから、身体の調子を崩す患者さんも数名おられました。
オンコールは深夜・休日を問わずかかってくるため、在宅医療を始めた当初は緊張と不安で熟睡できませんでした。以前勤務医だった頃、民間病院の夜間当直に行ったことを思い出します。
東海大東京病院の保坂隆氏の発表によると勤務医、中でも産婦人科、脳外科、麻酔科、泌尿器科の順に、月8回以上のオンコールを経験し、4,000人の医師のうち男性医師の8.3%、女性医師の10.5%が抑うつ状態にあるそうです。医者は緊張が連続する仕事です。趣味、旅行での気分転換が大切だと実感します。
更新日時:2010年06月03日 10時25分
歯のホワイトニング
永山センター歯科 歯科医師 澤江佳子
就職や営業活動、イベント、そして日常生活で最も良い印象を与えるはずの笑顔の時に、歯に汚れや黄ばみがあるとマイナスです。輝く白い歯は、清潔感や健康的な印象を与え、貴方の好感度をアップさせるだけでなく、自信を持って人前で話すことも可能にします。
歯を白くしたいなら、歯科医院でのホワイトニングがおすすめです。ホワイトニングは、歯磨きや歯のクリーニングだけでは落ちにくい、加齢や遺伝、生活習慣の影響による歯の黄ばみを、歯を削ることなく白くする方法です。歯の表面にホワイトニング剤を塗布し、歯の黄ばみ色素を分解して歯を白くするため、自然な色の仕上がりながらも、本来の歯の色よりも白く輝かせることができます。ただし、効果には個人差があり、中断すると色が後戻りすることもあります。お気軽に歯科医院に相談してください。
更新日時:2010年06月03日 10時22分
頚椎症性脊髄症とは(3)
ふれあい町田ホスピタル 整形外科医師 原田大朗
頚椎のトンネルが狭くなり、脊髄が圧迫される「頚椎症性脊髄症」の手術法について話します。
ほとんどの手術は後方からの椎弓形成術になります。これは頚椎の後ろの屋根にあたる椎弓の形を変えてトンネルを広げ、脊髄を除圧します。椎弓の片方を蝶番にして開く方法(片開き式)と、椎弓の両端に溝を作り、真ん中を開いて観音開きにし、空いた所に人工骨をはめる方法(両開き式)があります。脊髄を触らない比較的安全な手術です。
手術では、6、7割は症状の改善が期待できます。ただ、長い年月症状があったり、術前の症状が重い場合、また、画像で圧迫が激しかったり脊髄の質が悪い場合や超高齢の方は改善が劣ります。
しかし、手術のもう一つの目的は、今後の悪化を予防することでもあります。圧迫されている脊髄は「易損性」といって微小な外力(例えば、転んで首がふられる等)で脊髄の不全マヒという重大な事態になってしまいます。脊髄の圧迫を解消しておくことは大事です。
術後は、2日目にはリハビリを行って装具なしで歩行が開始できます。そして約2週間ほどで退院が可能となります。
更新日時:2010年06月03日 10時20分