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LIXIL不動産ショップ 中央企画

「相続相談 不動産のプロによる相続サポート⑨」

多摩地域で40年以上の実績を持つ不動産のプロ『LIXIL不動産ショップ相続サロン』代表・田岡浩一郎氏が、今注目の「家族信託」や不動産相続などについて話します。

大切な財産を、大切な家族と一緒に守っていく新しいカタチ「家族信託」

〝人生100年時代〟を迎える現在、長寿という喜ばしい側面ばかりでなく、さまざまな問題も生まれています。
例えば認知症。親が認知症になった後、特に対策をとらずにいると、認知症になった親の資産は凍結され、定期預金の解約や不動産の売却などが困難になり、自宅が売れない、修繕・建て替えができない、施設に入居するための費用が調達できないなど、さまざまな問題が起きてきます。
それらの問題から家族を守る対策として、今注目されているのが「家族信託」です。

「家族信託」は子どもや孫などの信頼できる家族を「受託者」として、親等の「委託者」が認知症発症前に財産の管理・運用・処分を託すもので、委託者が認知症を発症したとしても、家族による柔軟な財産管理が可能になります。
高齢者の財産管理を考える上で、検討対象となるさまざまな制度を代用できる幅広い機能を兼ね備えていて、長期にわたり安心できる一貫した財産管理・資産承継の仕組みを作ることができるのです。
前回(こちらをご覧に)は、「家族信託」での財産管理・資産承継手法をご紹介し、親の老後の財産管理を家族で支え、円満な資産承継まで一貫して実現できるメリットの大きな制度であることをお伝えいたしました。
ただ、そういったメリットの多い「家族信託」ですが、注意すべき点もあります。
今回は「家族信託」で注意すべき点を説明いたします。

家族信託で注意すべき信託財産、
「抵当権付き不動産」と「農地」について

財産的価値のあるもの(金銭的価値に置き換えられるもの)であれば、原則として信託財産とすることができる「家族信託」。ただし、「家族信託」はまだ普及し始めたばかりの制度ということもあり、実際に活用されているのは「不動産」「現金」「未上場株」にほぼ限定されているのが現状です。また、不動産の中には信託財産とするときに注意すべきものがあります。それが「抵当権の付いている不動産」と「農地」です。これらの不動産を信託財産とするときの注意点について、
まず今回は「抵当権の付いている不動産」についてお話しします。

「抵当権の付いている不動産」を信託財産とするときの注意点

信託したい不動産にローンが残っている場合、当該不動産には抵当権が付いていると考えられます。抵当権付き不動産を信託財産とすること自体は法律等で規制されているわけではありませんが、注意しなければ抵当権者である金融機関とのトラブルに発展してしまいます。
(抵当権=住宅ローン等が払えなくなった場合の担保として、金融機関が土地と建物にかける権利のこと)

注意点(1) 金融機関の承諾

抵当権の付いた不動産を信託財産とする場合、抵当権者である金融機関の承諾が不可欠です。
不動産を信託財産とする「家族信託」では、不動産の信託登記及び所有権移転登記(委託者→受託者)をセットで行います(※)。そこで問題となるのは金融機関と取り交わす金銭消費貸借契約書の条項です。金銭消費貸借契約には、「担保不動産の所有権移転には金融機関の承諾を要する」旨の条項が必ずあります。

この条項に違反すると債務者は期限の利益(分割返済ができる利益)を喪失します。つまり、金融機関に無断で不動産の所有権移転登記を行った場合、ローンの一括返済を要求されることもあるということです。
※ 家族信託で行われる委託者から受託者への所有権移転登記はあくまでも形式的なものです。

注意点(2) 受託者の債務引受

「家族信託」で信託財産の対象となるのは、不動産・金銭・有価証券等のプラスの財産です。ローンや保証債務などのマイナスの財産は対象外となります。そのため不動産を信託財産としても、ローン債務は依然、委託者の債務となります。
例えば、親が委託者で、その子が受託者の場合、ローン債務は依然、委託者である親の債務ということです。
つまり、所有者と債務者が異なることになります。この状態は珍しくはないのですが、当該抵当権付き不動産を売却するために繰り上げ返済をしようとする際には不都合が生じる場合があります。売却の手続き自体は受託者の権限で行うことができます。しかし、繰り上げ返済申し込み書等の返済に関する書類には債務者である親が記入する必要があります。そのため、家族信託開始後の親が認知症を発症すると、この書類への記入ができません。受託者においてもローンの債務者ではないため、当該書類への記入をすることはできません。結果、繰り上げ返済や抵当権抹消、そして売却手続きが滞るおそれがあるのです。

また、信託財産とする不動産がアパート等の収益不動産だった場合には、金融機関にはリスクが生じます。「家族信託」が開始されると、家賃などの管理は信託口口座で行われることになりますが、負債は信託財産とならないため、ローンの返済口座は「家族信託」を行っても変更はありません。つまり、家賃管理口座とローン返済口座が異なることとなります。
結果、金融機関は万が一、ローン返済が滞った場合でも家賃との相殺処理をすることができなくなります。そのため、金融機関から受託者を債務者とする債務引受契約の締結を求められることがあります(初めから受託者が連帯債務者または連帯保証人になっている場合は不要)。 委託者と受託者が連帯債務者となる「重畳的債務引受」と委託者は債務者から離脱する「免責的債務引受」があり、それぞれのメリットとデメリットがあります。
その点については、次回ご紹介したいと思います。

さまざまなメリットのある「家族信託」ですが、始めるにあたり、このように知っておきたい点、注意したい点等もあります。
専門家に相談しながら、納得したカタチで始めることをお薦めします。

「家族信託」や「不動産相続」についてのさまざまな疑問や悩みは、どうぞお気軽にご相談ください。
多摩地域で40年以上の実績を持つ不動産のプロ『LIXIL不動産ショップ相続サロン』が、幅広い相続や信託の知識と専門家とのネットワークを通じてサポートいたします。
また、相続勉強会も定期的に開催しておりますので、興味のある方はぜひご参加ください。

 

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多摩市落合1-7-12ライティングビル1F(Google マップ で開く)

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