[まちいま コラム]見えない人、見える人、見えづらい人、ともに。
視覚障がい者の外出の介助をする「ガイドヘルパー」兼、イベントプランナーの猿渡ひとみさん。
視覚に障がいがある人もない人も、一緒に楽しめるイベントを2022年から開催しています。
猿渡さんの活動とともに、イベント開催までの経緯をご紹介します。
「見えていなかったのは、私の方だったんだ」
猿渡さんは、2011年から味噌作りなどの日本文化を体感するイベントを運営する『アトリエ・サイ』の主宰者でもあり、同時に文字情報を音声に変える〝音訳〟の仕事をしていました。2020年、コロナ禍に入り『アトリエ・サイ』でのイベント開催が困難に。空いた時間で音訳を通じて興味があった視覚障がいと、〝同行援護(※)〟について学び始めます。
※「同行援助」とは、ガイドヘルパーの中でも視覚障がい者の移動をサポートする人のことを指します。
「実習で、目隠しをしながら箸で食事をしたところ、全然食べられなくて・・・。いかに、自分が視覚に頼っているかがわかり、全く知らない世界がそこにありました。〝私は何を見て、人は何を信じているのだろう。何も見えていなかったのは私だったんだ〟と気づき、もっとこの世界を知りたくなりました」
ガイドヘルパー資格を習得し、その後もNHKラジオなどで勉強を重ねていきました。
見えない人、見えづらい人、見える人。
すべての方と同じように楽しんでもらいたい。
あるとき、『アトリエ・サイ』の参加者と雑談していた時に、偶然にも同じガイドヘルパーの資格を持っている方が4人もいることがわかりました。この資格を持っている人は決して多くはないため、猿渡さんはとても驚いたそうです。
そして、そのガイドヘルパー仲間で話していくうちに、「『アトリエ・サイ』のような活動に参加したいと思っている視覚障がい者は、たくさんいると思う」「視覚障がい者はなかなか情報が届きにくい」「通常のイベント参加は、敷居が高く感じているのでは」など、視覚障がい者が社会生活をする上での困難な一面が見えてきました。
現在日本には、視覚障がい者は約31万人いるとされています。しかし、さまざまな事情で障がい者申請をしていない人が多いのも現状です。また、引きこもってしまう方、外に出たいけれど出られない方も少なくありません。
猿渡さんは、「情報の届きにくい人にも、明るく快適な生活をしてほしい。誰かと関わってほしい」と、イベント運営のノウハウを生かして、視覚障がいがあってもなくても、誰でも参加できるイベント団体『With見えない人、見えづらい人、見える人と』を立ち上げました。
誰でも参加できる社会が、当たり前になるように・・・
「いつか団体名に『見えない人、見えづらい人、見える人』という言葉を入れなくても、どのような方でも気軽に参加できるような社会になっていければと思っています。そして、もし街中に白杖を持っていらっしゃる方がクルクル辺りを回っていたり、何か困っている様子が伺えたら、優しく横からトントンと肩をたたき、『お困りですか?』や『何か手伝えることはありますか?』と声をかけてください。視覚に障がいがある方は、声をかけられると存在を実感できて、嬉しいそうですよ」と、猿渡さんは話します。
ガイドヘルパー(同行支援)に興味がある方、講習会の情報など、猿渡さんが相談にのります。
下記まで、ご連絡を。
TEL.080-6503-3100
メール sai31sunsun@yahoo.ne.jp
活動内容と、今後のイベント情報
■活動内容
『With見えない人、見えづらい人、見える人と』では、ヨガやアロマ、iPhoneの使い方などなど、視覚に障がいがあってもなくても参加できるイベントを主催。視覚にハンディがある人も、見える人の協力を得て作業を進めるので、自然とコミュニケーションも活発になっていきます。そして、今年は「視覚にハンディがあったって野菜を作る!」と農業の体験も。
参加者からは「いかに視覚に頼って生活しているかがわかった」「視覚障がいを持つ方との接点を作ってくださり、ありがとう」と好評です。
■今後のイベント情報
触覚書道
見えない人、見えづらい人も書道ができる! 触覚書道刻字協会 代表理事 池山永津子氏を講師に迎え、教えていただきます。ぜひ、体験してみてください。
日時:1/14(日)14:00~16:30
場所:多摩市立永山公民館 集会室(Google mapはこちら)
参加費:500円
定員:先着8名
申し込み:TEL.080-6503-3100または、メール(sai31sunsun@yahoo.ne.jp)で。
最新のイベント情報は、Facebookに掲載。
今後も楽しいイベントを計画していますので、お見逃しなく!
#文化 #BUNKA #視覚障がい #ガイドヘルパー #同行支援 #イベント