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モリテツのスペイン紀行❾「青の競演」(マラガ5)

バスでマラガに戻ると、西の空に見事な夕焼けが広がっていた。宿に戻る途中、小腹もすいたのでタパスバーに寄り道。ピカソ美術館のすぐそば。巨匠の壁絵を横目に、スペイン一名高い老舗「エル・ピンピ」へ。
18世紀の伝統

名刑事夫妻との別れ際、ご婦人から「Frigilianaは行ったの?」と言われた。「No」と返すと、「近いから寄ってみたら」とおっしゃる。ガイドブックによると、山あいに潜む白い美しき村。

もっともスペインの家屋はホワイト系が多いからさして珍しくはないと思うものの、フリヒリアーナだけは格別らしい。腕時計を見るとまだ12時50分。「How long time by bus?」と問いかけると、30分もかからないが、タクシーで行けとおっしゃる。料金は10ユーロちょいとか。「アディオス。グッドラック」と言って二人と握手、近くからタクシーに飛び乗った。

確かにおっしゃる通りで車内でコーラ1本飲まぬ間に着いてしまった。村の入口らしき所で降ろされたが、観光客の姿が目立つ。

この村は元々、ムーア人の手になるらしいが、キリスト系、ユダヤ系、アラブ系の3つの広場を通して互いに交流、仲たがいせず平和な観光村として協力し合っているという。

ここはマラガの東70㌔に当たる。曲がりくねったモザイク模様の路地の脇に白い家が丘の上までびっしり立ち並んでいる。白以外の建物はないのか。見渡した限り、確認できない。

観光客のお目当てはどうやら家々のドアらしい。固く閉ざされた家々の前でスマホやカメラを構え、その前でポーズをとる人たち。

ひとことで言えば、青の競演である。青系の色は5、60種類に上るそうだが、この村にはそのかなりが集積しているだろう。

紺碧、紺青、天色(あまいろ)、花浅葱(はなあさぎ)、千草色……。住民一人一人が色合いを意識して玄関作りをしている。

ベランダもスカイブルー。所々にある土産物屋のコントラストも映えている。

石畳の上り坂は結構きつい。汗もかく。しかし、みんな上を目指して行くので、仕方なしについて行った。まず教会で休憩だ。16世紀ルネッサンス様式の聖アントニオ教会だとか。内部はやっぱりひんやりとして涼し気だ。

前方の椅子に座っていたカップルが立ち上がってこちらへ歩いてきた。日本人のようだ。

30代にしてはなんとなく初々しさがあって手のつなぎ方もぎこちなげ。もしや、と思った時には、図々しくも「ハネムーンですか?」と声をかけてしまった。

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