漢方コラム(110)部位で変わる生薬の効き目
生薬は、同じ植物が由来でも使用する部位によって効能が異なるものがあります。例えば、身近な生薬でもある紫蘇。爽やかな香りの葉っぱは蘇葉といい、発汗解熱作用があります。蘇葉が入った代表的な処方薬は「香蘇散」。虚弱者の風邪や魚介の食中毒、気鬱などに用いられます(生薬の紫蘇は食用の緑の紫蘇ではなく、紫のチリメンジソ)。種は紫蘇子といって、咳や痰に用いられ、気管支炎の漢方薬「蘇子降気湯」に使われています。生薬は「日本薬局方」で、医薬品として使用できる部位が決まっていますが、それ以外の部位は医薬品ではないため、サプリメントやハーブティーなどに使われていることがあります。通じ薬のセンナは葉と実は医薬品ですが、茎はハーブティーに使われることが多いです。同じ名前の薬草が入っていても、漢方薬とサプリメントでは効能・効果が異なることもあるのでご注意ください。