漢方コラム(123)血虚の症状
血不足のことを東洋医学では血虚(けっきょ)といいますが、健康診断の貧血とは意味が異なります。血色が良く、肌や髪、爪に潤いがあり、ほどよい筋肉もあり、精神的にも穏やかな状態であれば、血が充実していると考えます。なので、検査の貧血がなくても血虚証と判断されることがあります。
冬の時期に多い血虚証のご相談としては、肌の乾燥・かゆみ、うつ症状などがあります。血が足りないと皮膚を潤すことができず、乾燥します。これを血虚生風といい、血が足りないと風(かゆみ)が生まれるという意味で、女性や高齢者に多く、当帰飲子(とうきいんし)がよく使われます。また、心血虚(心の血不足)の体質になると不安や不眠になりますが、冬は日照時間が短いので、うつ症状の方が増える時期です。皮膚とうつ、症状は全く違うようですが、東洋医学的な共通点があるのは興味深いと思いませんか?