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紙上 Placemaking
「人と自然がつながって、今だけでなく未来にもよい農業をしたい」
/あした農場・渡辺恒雄さん

多摩センターから小野路へと抜ける町田日野線沿いに「小野路」のバス停。そこからすぐの右に入る一本道。茂った木々に覆われて、あっという間に森の中という感じです。
「え~、車、すれ違えるの~?」とドキドキしながら進みます。
前方が明るくなってきて、道が開けたその先。
パーッと視界が広がって、どこまでも広い空と緑に包まれる空間が眼の前に。
ここが2013年に就農した渡辺さんが有機農法で運営している、『あした農場』です。

取材当日は、年に一度の羊の毛刈り体験とミツバチ観察会、それに畑でお絵かき、ミツロウラップ作りなども。
小さなお子さんから年配の方まで、多くの方がそれぞれに楽しんでいらっしゃいました。

羊の毛刈り体験

太陽の下でお絵かき

ニホンミツバチの話を聞きます

ミツロウラップ作り体験も

渡辺さんは、サラリーマンを経て、フリーランスでWEB制作の仕事を続け、忙しい毎日を過ごしていました。
「それまでは人の商品をPRする仕事をしてきましたが、年を重ねて、自分が一番よいと思うものを作って、それを紹介するような仕事がしたいと思うようになって」
食べることが好きで海が好きだった渡辺さん。
「最初は漁師になろうと思ったんですが、漁業権の問題などがあって無理だなと。で、農業なら簡単そうだなと思って始めたんですよね」
実際始めてみたら、大変だったと笑います。

渡辺さん

最初は実家のある茨城で農業研修を受け、農地も借りて種まきもしていました。
が、そのタイミングで、東日本大震災とそれに伴う原発事故に見舞われます。
その結果、茨城で農業を始めるのが厳しい状況になりました。

紆余折曲する中で、町田市の就農斡旋事業に巡り合い、改めて就農を決意。
そこから『あした農場』が始まりました。
耕作放棄されて荒れ野になっていた畑を開墾することからスタート。
コツコツと積み重ねてきた仕事は形となり、現在、見事な畑が広がっています。

「産地偽装問題などがニュースになって、それが嫌でした。生産者と食べる人が遠く離れているから発生するんじゃないかと思ったんです。本当に良いものを、近しい人に渡していく。広告の世界で仕事をしてきた自分なら、野菜のことをもっと違う形でPRできるんじゃないかとも思いました」

都市農場の立地を生かし、地域の人に、農業体験や援農ボランティア、イベントなどに気軽に参加してもらい、農業のこと、野菜のことを知ってもらえるような工夫を凝らしています。

農業専業で食べていける人はほんの少数というのが、今の東京の農業の現実。
そして農業従事者の高齢化など。
農業には、そういった構造的な問題が山積みしていますが、人の命を支える大切な産業です。

「野菜を作るだけでなく、この畑でいろいろな人とつながっていけたらと願います。やりたいことはたくさんあります」

『あした農場』という名前には、「今よいだけではなく、未来にとってもよい」そんな農業をしたいという思いが込められます。
農業をやってみたい人、土に触れてみたい人、緑の中で深呼吸してみたい人などなど、足を運んで野菜作りに参加してみませんか?
新しい世界が広がるはずです。

豊かな自然は生きていくための必需品

5/20(土)には、『あした農場』さんも参加する「まちだ里のマルシェ」が開催されます

「よいものを作って届けたい」
この気持ちに真面目に向き合う作り手たちが集まって、青空市を開催します。
会場は里山の中にひらけた気持ちの良い広場。
里で見つける、いいモノ・いい場所・いい出会い。
ここでたくさんの人たちとつながっていきましょう。

・5/20(土)10:00~14:00 ※荒天中止・小雨決行
・農村伝道神学校グラウンド(GoogleMapで開く
 ※お車での来場は、近くの野津田公園駐車場(有料・GoogleMapで開く)をご利用ください
・まちだ里のマルシェ実行委員会 kmasuda.chau@gmail.com
Instagram

プロフィール

あしたのうじょう

町田市小野路や下小山田に畑と田んぼのある『あした農場』。サラリーマンを経てフリーでWEB制作を仕事としてきた渡辺恒雄さんがパートナーの康子さんと2013年に就農。「今よいだけでなく、未来にとってもよい」農業をと農薬や化学肥料に頼らない有機農法で奮闘中。都市農場のよさを生かし、体験農園や援農ボランティア、各種イベント開催など、人とつながる工夫も展開しています。https://ashitanoujou.jp/ 

プレイスメイキング とは
そこに行ったら人と出会えて、つながって、ワクワクドキドキ楽しい時間が過ごせて、笑顔が広がって、まちが盛り上がる何かを作り出せる。そんな空間を、私たちが普段暮らすまちの中に作る取り組みが「プレイスメイキング」。

紙上プレイスメイキング とは
『もしもし』紙上が、そんな「プレイスメイキング 」の場になりたい。『もしもし』に触れることで、新しい人とつながったり、ドキドキワクワクの思いが広がったり、新しい発見があったり、このまちで暮らしていることを嬉しく思ったり、安心したり、心が豊かになったり。そして人に優しくしたいなと思えてきたり。そんな『もしもし』を皆さんに届けたい、一緒にこのまちを楽しい場所にしていくきっかけになれたら。そんな思いを込めました。

 


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