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[みらいへつなぐ]
開拓者精神を発揮して児童養護施設の子どもたちと一緒にふる里を作る

荒れた山林や放置された空き家と、家庭に居場所を見出せない子どもたちをつなぐことで、環境保全と児童福祉を一石二鳥で進めているのが「東京里山開拓団」です。

そもそもは、アウトドアとDIYが好きな堀崎茂さん(「東京里山開拓団」代表)が、親戚が持てあましていた山林を許可を得て個人的に開拓していったところからスタート。
少しずつ整備が進む中で、友人や子どもたちを招いて自然の恵みを堪能することが多くなっていきます。
その中で、皆が喜んでくれるのが嬉しくて、社会に埋もれる資源を生かして、居場所を見出せない子どもたちのふる里がつくれたらと思い、その思いに賛同した人々と一緒に一歩踏み出しました。

活動の柱は、児童養護施設とのふる里の山づくり「里山開拓」、児童養護施設とのふる里の家づくり「さとごろりんづくり」、そして自動由生御施設との自立応援の家づくり「まちごろりんづくり」です。

「里山開拓」では、2012年より、何十年も放置され荒れ果てた山林を無償で借り受けて、児童養護施設の子どもたちと一緒になって開拓。
道、ひろば、かまど、テーブル、ブラント、ツリーハウスとあらゆるものを皆で創り上げてきました。加えて多種多様な生物があふれる自然豊かな里山としての保全も継続しています。
自分たちで作り上げたからこそかけがえのない沢山の思い出がつまった「ふる里の山」になっています。

「さとごろりんづくり」では、里山の麓で朽ちかけていた古民家を無償で借り受け、児童養護施設の子どもたちとDIYリフォーム。囲炉裏や薪ストーブ、ハンモックで心を癒しながら本物の里山ライフが実践できるふる里の家「さとごろりん美山」を誕生させました。
ココは、帰りたくても帰ることのできる家がない児童養護施設の子どもたちの、入所中も退所後もずっと変えることのできる本物のふる里の家です。ここは、児童養護施設の子どもたちの休暇滞在の場としてだけではなく、施設不適応児童の緊急受け入れ、施設退所者による参加交流の場、関係者による研修やイベントの場などと活用が広がっています。

そして「まちごろりんづくり」。
現在、社会問題化している空き家。その空き家を期間限定・無償で借り受け、児童養護施設のお子どもたちとおともにDIYリフォームし、5年間家賃無料などで、児童養護施設を卒所した20代の若者の自立を応援する家づくりです。
2025年10月末現在、「まちごろりん世田谷」「まちごろりん豊島」「まちごろりん新宿」の3軒が開設されています。

活動の鍵は「開拓者精神の発揮」と堀崎さんは話します。
「可哀そうだから、とか、やってあげたい、ではなく、大人も子どもも一緒になって壁を乗り越え、開拓し、自分たちの手でふる里となる居場所を作っていこうという思いです」

活動の中心を担う会員は一切手弁当のボランティア。
子どもたちの喜ぶ姿に支えられ、自然の恵みの中で困難さえも楽しみながらの活動で、心豊かな暮らしと社会の実現へ向けて皆で奮闘しています。

「外から見ると〝大変でしょう〟と思われるかもしれませんが、そもそも私のDIY好きから始まっているので、大変さよりもワクワク感が勝っています。辛い思いをしている子どもたちの自立への道を、大人はもちろん子どもたち自身も一緒になって切り拓いていきたいですね」

目指すところは「開拓者精神の発揮で、心の豊かさを取り戻す」こと。
活動を楽しみながら続けて広げていくことで、本当に心豊かな、皆が笑顔でいられる社会が生まれていきますように。

DATA

NPO法人東京里山開拓団

2009年活動スタート。2012年より八王子市美山町の荒れた山林を無償で借り受け、児童養護施設の子どもたちと共に開拓。コロナ禍を経て、2023年には美山町の里山の麓に、ふる里の家「さとごろりん美山」を誕生。2024年からは、空き家を活用した主に20代の社会的養護対象者の自立を応援する家づくりも。現在「まちごろりん世田谷」「まちごろりん豊島」「まちごろりん新宿」を開設。
活動に自主的に参加できる会員(会員要件を満たす必要あり)、財政面から支えるサポーターを随時募集。
https://satoyamapioneers.web.fc2.com/

 


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