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TamaHito 23 
丸山 清人 さん
富士山を描き続けて67年 日本で3人しかいない銭湯絵師

18歳で飛び込んだペンキ絵の世界

今でこそ数が減ってしまいましたが、大正・昭和の世代の方なら「銭湯」のお世話になった人も多いはず。浴槽の背景に描かれた大きな富士山のペンキ絵は、銭湯の思い出として記憶に残っているのでは?
丸山清人さん(85歳)は、その銭湯のペンキ絵を描く「銭湯絵師」。現在、日本で3人しかいない現役絵師の中でも最高齢です。
「銭湯のペンキ絵は、大正時代に東京の神田にあった銭湯の主人が浴槽の背景画を画家に依頼して、それが評判を呼んで広まったんだよ」
18歳の時に広告会社を経営する叔父のもとでペンキ絵の修業を始めた丸山さん。「子どもの頃から絵を描くのが好きだったから、これ幸いとこの世界に飛び込んだ。毎日好きな絵を描いて、それが仕事なんだから楽しかったね」
湯船にペンキを缶ごと落っことしたり、自身が沸き立ての熱湯風呂に落ちてヤケドしたり…。失敗もさまざまあったが、「今では笑い話だよ」と。
ところで、銭湯の背景画といえば、なぜ富士山?
「だって、みんな富士山好きでしょう? 富士山眺めて湯につかれば、気持ちいいもの。特に関東の銭湯に多いよ。絵柄も女湯だったら子どもが好きそうな動物や車なんかも描くし、頼まれれば何でも描くよ」

実は大ヒット映画にも丸山さんの作品が

ひとくちにペンキ絵と言っても、それを描くのには技術が必要。ベタっとしないように、筆づかいやペンキの色の調合には長年の経験値やセンスが問われます。特に富士山は簡単なようで難しいのだそう。
「山の稜線のバランスをとったり、色調をなるべく明るくしたり。それから紅葉(葉が散る)、猿(客が去る)、夕日(日が落ちる)の3つは、縁起が悪いと嫌われるから描かない」
数年前からは自身で個展も開催するようになった丸山さん。イベント会場での背景画作成や個人からの依頼、ペンキ絵教室の開催など仕事の幅も広がっています。古代ローマ人が日本の銭湯にタイムスリップする映画『テルマエ・ロマエ』のペンキ絵も、実は丸山さんの作品だそう。
「ペンキ絵は天職だと思っている 。今はコロナ禍でイベントも減っているけれど、多くの人に作品を見てもらって、銭湯文化を残せたら嬉しいね」

 

プロフィール

1935年東京都生まれ。18歳の時に叔父の故・丸山喜久男氏に弟子入りし、銭湯の背景画を学ぶ。25歳で独立。今までに描いた作品は1万枚を超える。最近では、銭湯の背景画のほか、個人宅・店舗・病院・老人ホームからの依頼、CMや映画、空港・区役所やホテル等のさまざまなイベント、講演会、小学校の銭湯プロジェクトへの参加など、多岐にわたって活動中。

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