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モリテツのスペイン紀行35「堪能! 2つのルーツ」(ビトリア~ログローニョ)

アルベルゲ(巡礼宿)に泊まると朝寝坊はできない。第一、夜明け方からゴソゴソ物音がして、午前8時までにはチェックアウトするのがルールである。朝の通りに出ると、ユニークな光景に出くわした。食堂もない原野を歩くのだろうか、若い女性の巡礼者がバゲットをリュックに突きさした後ろ姿。思わず吹き出してしまった。

我はまだ方向性が定まっていない。とりあえずバスターミナルに向かった。そこで出会ったのが日系ブラジル人の青年アルトゥール・二条君。サンパウロ在住でポルトガル旅行の帰りに寄ったそうで、これからビトリアに向かうと言う。「ラスベガスでカジノのディーラーになるんだ。で、カードのルーツを訪ねようと思って……」

行き先はビトリアのトランプ博物館。トランプ手品なら吾輩もお手のもの。1時間余で行けるというので好奇心で同行した。二条君は祖父母の時代、広島県から移住、コーヒー栽培で成功した一家だという。バスを降りて400㍍ほど歩くと、博物館に着いた。考古学博物館と併設されたガラス張りのモダンな建物。なんと入場無料。中に入って驚いた。

14世紀以降のトランプがその数15,000種。その時代の印刷機も展示されている。まさにルーツの地だ。日本では任天堂が老舗だが、世界的にはこの博物館オーナーのフルニエル家。

このビトリアの地に1868年トランプ製造所を設立して以来、世界各地を回って収集、百人一首や花札まであった。現代も世界のカジノで使うカード印刷の最大手。モンテカルロ、モナコ、ラスベガスはじめ世界のカジノの大半がここで印刷されたカードを使う。とりわけ国王や王女が出入りするロンドンの最高級カジノ「レ・アンバサダークラブ」のトランプはここ専用とか。なるほど二条君がゲン担ぎの視察に訪れるのも納得だ。

彼は夕方までみっちり見学するそうで別れて表に。洒落たトラムが走っている。人口25万人。都市空間の緑地比率が高く、欧州のグリーン首都に指定されているという。街の中心ビルヘン・ブランカ広場の看板もグリーン仕立てで雰囲気のある古都の印象。

バスターミナルのカフェでコーヒーを飲みながらケイル君たちの様子を伺うと、パンプローナからエステーリャまで30数㌔歩いて、そこからバスで数十分のログローニョで宿をとるとのメールの返事。

地図で確認するとビトリアの南70㌔。直通バスもあるので午後のバスに乗った。車窓に広がる風景が魅力的だ。丘の上に白馬が1頭。所要69分。

ログローニョはラ・リオハ州の州都である。リオハと言えば世界に冠たるワインの都。バスの車中からも青空の下、水平線の彼方まで広がる緑鮮やかな葡萄畑が望めた。この地域だけでブドウ園の数16,000。リオハはカンタブリア山脈の南、エブロ川沿いの盆地に位置する。山脈が壁となって北方からの強風を防ぎ、穏やかな天候に恵まれて産地として発展。その歴史は700年を越える。まさにワインのルーツの地である。

ボデガ(ワイナリー)は600以上。赤ワインだけで年間2億6千万㍑も出荷しているとか。と言われてもピンとこないが、25㍍プール540個分の容量にあたる。となれば、何を置いてもまずはリオハワインだ。街中にある最も有名なレストラン「ワイン・ファンダンゴ」に飛び込んだ。その陳列ぶりに圧倒される。赤が名産。美味すぎて飲み過ぎて顔まで赤くなりました。

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