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紙上 Placemaking
「農業で広がってきた人のつながりに感謝」
/小暮農園 小暮 和幸さん・敦子さん

多摩市一ノ宮に8,000平方メートル以上の農地を抱え、多種多様な季節の農産物を作っている小暮和幸さん・敦子さん夫妻。
和幸さんは、江戸時代から代々伝わる農家の長男として生まれました。
「親は、これからは専業農家でやっていける時代じゃないと思っていたんだろうね。農業を継げとは言われなかったね」
将来を見据えて大学に進学。卒業後は市役所に就職します。
「勤めてはいたけれど、人手が足りないから、多少は畑仕事を手伝ったり、出荷を手伝ったりはしていたよ。でも専業農家を継ぐつもりはなかったし、定年まで役所で働いて、その合間に農業を手伝っていくのかなと思ってた」
それが、和幸さんが46歳の時、突然、お父さまが他界します。
お父さまが務めてきた地域の付き合い、農業のあれこれを和幸さんが担うことになります。
「これもあれもやらなきゃとか、土日も仕事が入ってきたりして、辞めて農業に専念した方がいいのかなって」
そして、48歳で市役所を辞め、専業農家の道を歩き始めました。

「私自身も府中の農家の生まれで、ちょっとした手伝いはしていました。嫁いできてからも義父義母の手伝いをしたり。まあ、いずれはやらなきゃいけないのかなあとは思っていました」と敦子さん。
以来25年、二人で一緒に農業に本腰を入れて取り組んできました。

和幸さんと敦子さん、二人三脚で農業を守ってきました

「最初に、一年間の収入がこれだけ?と驚いたんだよね。で、よし、毎年、10万円でもいいから収益を上げていこうと思ったんだ」と和幸さん。

こちら、玉ねぎの葱坊主

珍しい野菜作りに積極的に挑戦。
「カタログを見ていて、珍しい野菜が目に止まると作りたくなっちゃうんだよ」と、楽しみながら新しいことに挑む姿勢は見事です。
多摩市の多くの農家さんで導入している、アスパラガスの採りっきり栽培®︎は、先駆け的存在です。

アスパラガスがニョキニョキと生えています

そんな日々の農作業の忙しさにも関わらず、農業で地域をつなぐ活動もしっかりと取り組んでいます。
例えば体験農業や中学生の職場体験の受け入れ、学校給食への野菜の提供、援農ボランティアの受け入れ等々。さらに地元神社や寺院の責任役員も。
「みんなに支えてもらっているからこそやれている。これからも皆で知恵を寄せ合って、農業や地域のことを盛り上げられるといいなと思う」
農業を通してのつながりは、多摩市の枠も超え、他の人へのつながりも生んでいます。
「縁があって知り合ってつながった友人は素晴らしい人ばかりで、自分の財産。友人の姿から、自分も誠実であろうと思わせてくれるね。ありがたい」と。

玉ねぎの収穫は手作業で丁寧に。この玉ねぎ、多摩市内の小中学校の給食で使われます。地場の玉ねぎの美味しさは格別ですよ
畑の先には京王線の車両が行き交います

プロフィール

こぐれかずゆき・あつこ
多摩市で江戸時代から続く農家の7代目。和幸さんはお父様の他界に伴い勤めを辞め、48歳で専業として農業を継承。奥さまの敦子さんと二人三脚で歩んできた。2024年2月、多摩市農業委員歴8期24年と5期15年の会長歴、多岐にわたる営農活動・地域活動が評価され、東京都農業委員会・農業者大会にて、企業的農業経営顕彰・野菜部門で東京都産業労働局長賞と農業会議会長賞をダブル受賞。企業的農業経営顕彰は、企業化を目指す農業者の地域経営改善目標としてふさわしい経営を行なっている農業者を表彰するもの。

プレイスメイキング とは
そこに行ったら人と出会えて、つながって、ワクワクドキドキ楽しい時間が過ごせて、笑顔が広がって、まちが盛り上がる何かを作り出せる。そんな空間を、私たちが普段暮らすまちの中に作る取り組みが「プレイスメイキング」。

紙上プレイスメイキング とは
『もしもし』紙上が、そんな「プレイスメイキング 」の場になりたい。『もしもし』に触れることで、新しい人とつながったり、ドキドキワクワクの思いが広がったり、新しい発見があったり、このまちで暮らしていることを嬉しく思ったり、安心したり、心が豊かになったり。そして人に優しくしたいなと思えてきたり。そんな『もしもし』を皆さんに届けたい、一緒にこのまちを楽しい場所にしていくきっかけになれたら。そんな思いを込めました。


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