1. HOME
  2. [みらいへつなぐ]学内で習う・教わるだけでなく、地域での経験で、真の探究学習を

[みらいへつなぐ]
学内で習う・教わるだけでなく、地域での経験で、真の探究学習を

2022年度から高校で必修になった「探究学習」。
自ら問いを立て、情報を収集・分析し、解決に向けて取り組む学習方法です。

中央審議会が提言した「新しい学習指導要領の考え方」(文部科学省・2017)の中に「これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合い、自分の人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと」と明記され、それを目的とした、アクティブ・ラーニング形式への転換です。

この転換を、教員自らが主体的に行動し、内発的な変化を生み出し実現へ向けて進めているのが、『多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校』(多摩市聖ヶ丘)の〝A知探Q〟です。

2017年度に、同校の管理職・教科主任を中心とした「教科主任会」を設立。年齢もキャリアも関係なく、お互いの腹の内をさらけ出し共有するために「言いたいことはすべて言う」をコンセプトに掲げた1年間。

「世界の課題を議論することはもちろん大切。でもその前に、自分の目で見て足で稼いで、身近なことから考えていこう。この思考が根底にはあります。そして、子どもたちのために新しい扉を開いていこう、そのためには教員が前向きでエネルギッシュじゃなきゃ、と徹底した議論を重ねてきました」と探究基幹教員の出岡由宇さんは話します。

まず、2017年夏、それまでサマーセミナーとして開講されていた夏季休暇特別学習講座を、実験的にアクティブ・ラーニング型の学習講座に変えて開催。それが〝A知探Qの夏〟の始まりです。

「講座のコンセプトは、教員自身が楽しいと思う学びであることでした」
とはいうものの、最初は、〝そんなことをやる時間があるなら、学習指導に時間を割きたい〟という声もきこえてきたそうです。
けれど、とことん話し合い、このコンセプトで!となったと。

「自分の研究領域はもとより、趣味、好きなことなどなど、コンセプトに合うのであれば何でも良しとしました。さらに、教員だけでなく外部の専門的な人を招くことも良しとしました。ただし、好きなことを好きなように楽しむのではなく、教える側が自らが楽しんで学んでいることを生徒に教授することが必須条件です」

結果、歌舞伎鑑賞、落語、脚本作り、数学と折り紙、自然体験、電気回路と料理など、生徒自身が普段の授業とは異なる学びを通して、問題や課題の答え(Answer)を知るだけで終わらず、次の疑問(Question)を見つけることの大切さを味わいうことができました。

〝A知探Qの夏〟は、高3の大学受験指導講座を担当する教員以外の全専任教員が講座を開講することも大きな特徴。そして驚くべきことに、講座は毎年ほぼ刷新されています。
教員の〝学び〟や〝教授〟への姿勢が変わった表れといえます。

そして、2022年からは、地域に学び地域に返す〝地域探究ゼミ〟を開講。
同校がある多摩市をフィールドに、市の職員や地域の人と協働し、市や地域が抱える課題解決に向け、生徒自らの力で実行を目指しています。

毎週水曜日には、市の職員が学校に来て、生徒たちと共に探究ゼミを開催。今、何が多摩市の課題なのか、現場の声を届け、共にその解決に向けてできることを探究しています。

「生徒は地域でさまざまな失敗もします。地域の方に叱れたりもする。そこを教員がしっかりフォローします。その繰り返しで、生徒たちはどんどん強くなっていきます。どんどんタフになってきています」

DATA)
多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校〝A知探Q〟
多摩市聖ヶ丘にある私立中高一貫校での探究学習。2018年の夏からスタートし、7年目に突入。2022年からは地元・多摩市をフィールドに、地域課題解決に向け生徒自らが考え実行を目指した活動を展開。
「たまひじのA知探Q 学びの玉手箱!」https://www.hijirigaoka.ed.jp/questlp/
「A知探Qの夏」https://www.hijirigaoka.ed.jp/education/activity.html


#みらいへつなぐ #多摩市 #多摩大学附属中学高等学校 #探究学習 #地域 #ゼミ

関連記事