漢方コラム(116)メーカーによる漢方薬の違い
漢方薬は、配合によって決まった方剤名が付けられています。葛根湯(かっこんとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)…などです。しかし、同じ方剤名なら全く同じかというと、そうではなく、生薬の加工や配合割合、種類がメーカーによって異なる場合があります。例えば、散剤とエキス顆粒。散剤の場合、使用する生薬の分量はエキス顆粒の約1/3です。少ないから効き目が悪いのかというとそうではなく、揮発性・脂溶性の成分は散剤の方が多く含まれます。また、似た植物で異なる場合があります。朮(じゅつ)という植物は白朮(びゃくじゅつ)と蒼朮(そうじゅつ)があり、地黄(じおう)は乾地黄(かんじおう)・熟地黄(じゅくじおう)があり、それぞれ薬効が異なります。また、A社の○○湯は大丈夫だったのに、B社の○○湯は下痢した…ということも。大黄の有無によってお通じの効き目が異なるケースです。
このような違いもあるので、名前だけで漢方薬を選ぶ際には注意しましょう。