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モリテツのスペイン紀行50「怠け者の豪勢なランチ(2)」(マドリード2)

宿にチェックインした後、すぐに出かけた。秘かな楽しみがある。宿から南西へ0.5㌔、人々が集うマヨール広場へ。ここが旧市街の中心。レストラン「ボティンの甥」(Sobrino de Botin)はこの裏手にある。妙な店名だが、ギネスブック認定の世界最古のレストランである。

1725年、仏人ジャン・ボティン夫妻が設立、ボティンの死後、甥が継いだことからこの名がついた。

アーチ型天井と煉瓦の壁が白いランプにしっとりと照らされえもいわれぬ風格を漂わせる。ここでスペイン絵画の巨匠フランシスコ・デ・ゴヤが一時、厨房で皿洗いをしていたそうだ。二階最奥を指定席にしていた常連客アーネスト・ヘミングウェイは「ここは世界中で最高のレストランの一つだ。子豚の丸焼きコチニーリョアサードを食べて、リオハ・アルタのワインを飲んだ」と『日はまた昇る』に記している。

驚いたことに、薪オーブンの炎はオリンピックの聖火並みに消すことなく燃やし続けているという。ゆえに絶品の肉料理が提供できるらしい。さっそく名物「コチニーリョ」を食した。サラダ、スープなどセットで44ユーロ。柔らかでジューシー。脂っこさがなく肉という感じがしない。スペインに来て初めての豪勢な出費。が、存分に満足した。

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