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[SDGsコラム]
多摩市の「ペットボトルの分別ルール徹底化」の、その後

2023年12月より、東京都多摩市では「分別が守られていないペットボトルが混入している場合、その収集容器に入っている全てのペットボトルと缶を収集しません」と分別ルールが徹底化されました。市民にとっては背筋が伸びる思いのルール徹底化でしたね。
この徹底化から、約5ヶ月。そもそも「なぜルールが徹底されたのか」、「徹底後に変化はあったのか」を『エコプラザ多摩』の星野さんに伺いました!

なぜルールが徹底されたのか?

実は、多摩市はペットボトルのラベル混合率は30%、キャップの混合率は1日2万本と、東京26市の中でもワーストの方でした。そんな多摩市では、2023年4月に回収したペットボトルを再びペットボトルにリサイクルする「ボトルtoボトル」の取り組みをスタート。
キャップが付いてるとペットボトルの圧縮ができないため、手作業で一つひとつ外して分別。夏場のピーク時になるとペットボトルの回収が多くなり、追いついていけない状況になります。また、ラベルが付いていると、引き取り価格が安くなったり、引き取りが出来なくなってしまいます。
そのためキャップやラベルが混合していると、良質なリサイクル品ができず、資源化センターで処理しきれなくなってしまうことから、分別ルールの徹底化を実施することになりました。

ルール徹底後に変化はあったのか?

気になる「ルール徹底後」ですが、大きな変化がありました!!
なんと! 2024年4月時点でラベルの混合率は30%から0.6%に、キャップ付きは1日2万本から2千本まで減りました! これはうれしいですね。星野さんも「皆さまのご協力のおかげで、ここまで減ることができました。ありがとうございます」と話していました。

現在の課題について

現在の課題は、単身アパートの方々には情報が行き届きにくいという点です。
この分別ルール徹底化を開始するときは、市民の方には広報や市からのお知らせで周知を行い、また、自治会や集合住宅の管理組合などから推奨される廃棄物減量等推進員の皆さんとは会合を開きルールの徹底化にご協力をお願いしました。それでも、なかなか単身の方への情報周知が難しく、このルール徹底化を知らないまま、今まで通りゴミ出しを行うため、ごみ収集所に回収できないペットボトルが積んであることもあるそうです。
市の職員が、個別でアパートの管理人の方などにも伝えたり、さまざまな方法で掲示をしてお知らせをしていますが、まだ完全ではないということです。
「今後はこういった情報が伝わりにくい方々にも知っていただけるようにしていきたいです」と星野さんは話します。

これからも多摩のためにも、地球のためにも、キャップ1個、ラベル1枚、中をすすぐひと手間で、ぜひ未来の子どもたちより良い環境を残していきましょう。

多摩市のペットボトル分別の経緯

■1999年 ペットボトルの分別収集が開始!
開始当時から「キャップをとり」、「中をすすぐ」、「ペットボトルをつぶす」ことをお願いしていました。

~なぜキャップをとって、中をすすがないといけないの?~
キャップがついたままだと、収集車の中でペットボトルをうまくつぶすことができず、破裂の危険や1回の収集量が減ってしまうことがあるそうです。そして、中をすすいでいないと、残った飲料に蜂などの虫が集まり、収集員が刺されてしまう危険があるからです。また、キャップやラベルはボトル本体とは別の素材であるため、リサイクル過程にて〝不純物〟として取り除かれています。ちなみに、ペットボトルをつぶすことで、回収容器に入れられる量を増やし、収集効率を上げる効果もあるそうですよ。

■2013年 リサイクル意識が向上!
この頃より、社会的にもリサイクルの意識がさらに向上したこと、企業努力でペットボトルの厚さが薄くなったこと、ラベルが取りやすくなったことなどもあり、容器包装リサイクル法の見直しを受けて、「ラベルをはがす」こともお願いするようになりました。

■2019年 地球温暖化対策にも配慮したプラスチック削減を目指す!
多摩市ではマイボトルの推進と共に、ペットボトルの分別啓発や、以下の取り組みを行いました。
2019年:環境省が「3R(Reduce・リデュース、Reuse・リユース、Recycle・リサイクル)+Renewable・リニューアブル」を基本原則とするプラスチック資源循環戦略を策定
2020年:多摩市気候非常事態宣言表明。2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す
2022年:多摩市プラスチック削減方針策定。基本原則に「4R(Reduce・リデュース、Reuse・リユース、Recycle・リサイクル、Refuse・リフューズ)+Renewable・リニューアブル の推進」を掲げる

■令和5年4月 ペットボトル水平リサイクルが開始
回収ペットボトルを再びペットボトルにリサイクルする「ボトルtoボトル」の取り組みを開始。石油由来の資源を使って作られるペットボトルと比較して、CO2を約60%削減できるそうです。

■令和5年12月 ペットボトル分別ルールの徹底化が開始
「分別ルールが守られていないペットボトルが混入している場合、缶を含む回収容器内すべて収集しません」としたルールの徹底が開始されました。それにより、ラベル混合率は30%から0.6%へ、キャップ付きは1日2万本から2千本まで削減しました。

分別ルール

(1) ラベルをはがす

(2) キャップをとる

(3) 中を軽くすすぐ

エコプラザ多摩

『エコプラザ多摩』は、多摩市内の家庭で分別してから出される資源を品物ごとに選別し保管、搬出までを行う施設。

[住所]多摩市諏訪6-3-2
[電話]042-338-6836
[開館時間]8:30~17:00 ※資源持ち込みは16:00まで
[休館日](土)、(日)、年末年始(12月29日~1月3日)


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