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[SDGs コラム]「市場に出ない物」から「いつでも食べられる物」へ

市場に出ない梨の行方・・・

東京都稲城市の特産物といえば〝梨〟。約300年前からこの地で盛んに栽培され、都内最大の梨産地として知られています。
長年、農家さんが努力と研究を重ねて育て上げた一級品の梨は、シーズンになると直売所には遠方から買いに来る人もいるほどの大賑わい。今や、全国に誇る「稲城の梨」ブランドと称される名産品です。

一方で、形の不出来や傷、虫食いなどで規格外になってしまい、泣く泣く廃棄せざるを得ない梨もあります。そんな悲しい梨に、新たないのちを吹き込んだのが三児の母でもある山本 友貴さん。

「長く勤めていた会社を辞め、〝もっと子どものそばにいられるような働き方がしたい〟と思っていました。そんな中、知人の紹介で稲城市の梨農家さんとお会いする機会があり、その時に自園で収穫された梨で作られたドライフルーツを食べたら、とってもおいしくて! それと同時に、規格外の梨が廃棄されてしまう現実も知りました・・・」

規格外の梨は贈答品に向かないものの、おいしさは変わりません。農家さんも、工夫の仕方も再利用できることはわかっているけれど、生産だけで手一杯の現状・・・。

「その状況を目の当たりにして、規格外の梨を使ってドライフルーツを製造することを考えました。ドライフルーツなら製造した当日中に販売しなくてもよく、保存期間も長い。そのため、急な休みや予定の変更が発生しても対応しやすく、子育て中の私でも無理なくできるのではと思いました」

ドライフルーツの製造・販売へ

2020年8月。数名の仲間たちと一念発起し、規格外の梨を使ったドライフルーツを製造・販売する会社を起業。
まる一日かけてじっくりと焼き上げるドライの梨は、砂糖などの調味料は一切使わなくても、甘味がギュっと濃縮され、梨そのものの味を楽しめます。

山本さんのこだわりは、〝丁寧に作ること〟。
衛生面に気を付けることはもちろん、品種によって焼きの温度を調整し、食感や味のバランスを最良になるようにしています。また、規格外の梨を製造しているからこそ、梱包を丁寧に行い、綺麗にラッピングを施し、手に取ったときに「可愛い」と感じていただけるような商品になるよう心がけています。

今後の展望について、「一筋縄ではいかないことも多いのですが、楽しさを大事にしつつ、規格外の梨を美味しく食べていただく取り組みができたらと思っております」と山本さんは話します。

各種ドライフルーツは、商品は通販サイトや稲城市内の小売店で販売しています。
公式通販サイト、取り扱い店舗紹介はこちらから。

家庭でもできる! 簡単梨のセミドライフルーツの作り方

冷蔵庫の奥に隠れてうっかり食べ忘れてしまった、そんなときにぜひお試しください!
少し手を加えただけで、おいしく保存ができますよ。

[作り方]
薄切りにした梨を100℃~110℃に温めたオーブンで1時間半ほど加熱。
粗熱が取れたら完成。

出来上がったセミドライフルーツは、焼きリンゴのような食感になりますよ。
冷蔵庫で保管して、お菓子作りや食後のデザートとしてもおすすめです。

その他、食べきれなくなったバナナは皮をむいて、ぶどうはそのまま冷凍庫で冷凍すれば、シャーベットとして楽しめます。

山本 友貴さん

規格外の梨を農家さんから買い取り、ドライフルーツの製造販売を行う『ココロコ株式会社』代表・山本 友貴さん。

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