TamaHito 20
峰岸 久雄さん
「知識を知恵に変える!」 自然を通じて教えたいこと
「緑の探検隊」講師を30年にわたり担当
皆さんは、「ランドスケープアーキテクト」という言葉を聞いたことがありますか?
地域社会における環境を保全し、景観に配慮した空間をデザインする仕事をいいます。ひと昔前までは「造園家」と呼んでいましたが、現代では造園に関する知識や技 術だけでなく、環境や都市計画、都市デザインの知識や手法も必要とされる新たな職業として知られてきました。
「私はランドスケープナチュラリスト。〝ナチュラル〟を勝手に付けて名乗っています」と言って笑うのは、峰岸久雄さん。多摩市立グリーンライブセンターが主催する環境教育プログラム「緑の探検隊」の講師を30年以上にわたり担当。イベント参加者たちにはすっかり顔なじみの〝まちの有名人〟です。しかも、全国でもわずか32人しかいない「登録ランドスケープアーキテクトフェロー」(ランドスケープの見識に優れ責任ある立場で長年にわたり指導的役割を果たしてきた者)というからスゴイ!
都立の園芸高校を卒業後、造園の仕事に従事。国立公園制定事業に尽力した故・小坂立夫氏に師事し、造園設計を手掛けるように。1970年からは、(株)エキープ・エスパスに勤務し、住宅公団(現・独立行政法人都市再生機構)のオープンスペース計画にも携わり、多摩ニュータウンをはじめ公団の多くのビッグプロジェクトにも参加し、造園セクションのメインコンサルタントとして活躍してきました。
環境教育を行うには後継者の育成が課題
「私のライフワークは環境教育。肩書きにナチュララリストを付け加えたのもそういうこだわりがあります。これまで私が培ってきた技術や知識をすべて生かして、何でもやっていくつもりです。イベントで出会う大勢の子ども達に、自然保護の大切さを教えるのはもちろんだけど、自然の知識を知恵に変えていくことも教えてきました」
最大の課題は、若手の後継者の育成だとも。「日本にとっても世界にとっても環境教育は重要。その指導に片手間ではできません。ボランティアに頼るには限りがある。専念して取り組めるよう、しっかりとした職業として確立すべきです」と言葉を強めます。
緑が好きで、「性に合っていた」という造園の仕事から広がった人生。コロナ禍で「緑の探検隊」も思うように開けませんが、一人でも多くの子ども達と触れ合えるよう願っています。
プロフィール
1947年品川区生まれ。1966年都立園芸高校造園科卒。1967年(株)カーターアート社造園部(現・環境・グリーンエンジニア)入社、故・小坂立夫氏に師事し、草創期の造園設計に携わる。1990年「多摩市立グリーンライブセンター」開設に伴い「緑の探検隊」など多くのプログラムの企画・運営・指導を担当。「みどりとくらし設計工房」主宰。多摩市在住。