TamaHito 49
佐藤 耕雲 さん
水墨画に魅せられて約30年、人生と同じ面白さがある
幾人もの大家に師事し、描きに描いて30年
元々、絵を描くことが好きだったという佐藤さんが水墨画に魅せられたのは、お嬢さんが通う中学の文化祭に足を運んだことがきっかけで、今から30年ほど前のことです。その時の校長先生が、翌年の干支の猿を描いた水墨画をその文化祭に出展。油絵や水彩画では表せない毛並みに感動し、その校長先生のもとで毎週土曜に指導を受け続けたと言います。
2年ほど通ううちに「他の先生に習った方が良い」と言われ、佐藤さんは、いろいろな先生のもとで研鑽を重ねます。
そして、豊島区の大塚で教室を開いていた、受賞多数で国際的にも活躍する馬驍氏のもとに通うように。
指導を受けていく中で、〝いずれ、人に教えるようになるのなら花も描けるようになったほうが良い〟ということで、馬驍氏の妻でもあり、水墨画の花を描く大家の王萩地氏のもとでも学ぶようになります。
「そんななかで、人物を描きたくなって、林崢明氏のもとで、毎週人物画を描くことを学び始めました」
全て、研究職として会社でさまざまな業務に従事している中でのこと。
「先生方からは、水墨画の知識もしっかりと学びました。とにかく描くことが楽しくて、夢中になって一心不乱に描き続けましたね」
作品は中国で認められ、当時、闘病中の鄧小平氏より賞を受けるまでに。
流れるように筆を走らせる佐藤さん。見る間に竹が描かれます。
リハーサルがない水墨画、まるで人生のよう
退職後、佐藤さんは思う存分水墨画の世界を邁進します。
「水墨画は、一度墨を落とすと修正がきかなくて、ごまかすことができません。リハーサルがないんです。人生と同じだなあと思います。だから面白い」
頭の中に全体像を描き、想像を膨らませて筆を進めます。一気に、けれど、慎重に。先生方に教わった基本・知識を忠実に守りながら、自分の世界を紙の上に広げていきます。
「きれいな絵を描く人はいくらでもいます。でも、正しい知識を持って描かないとやっぱりダメなんです。だから私は教わったことを皆さんに教えています。構図、密と相、陽と隠、明と暗の四原則や落款の押し方などなど。その一方で、難しく考えずに楽しんでもらいたい」
3月9日(水)から15日(火)に、上野の東京都美術館で「公募第39回 日本 中国 水墨画合同展」が開催予定。水墨画の世界をお楽しみください。
公募第39回 日本 中国 水墨画合同展
▼2022/3/9(水)〜3/15(火)※開催中の休館日なし
▼9:30〜17:30(最終日14:00迄)※入場は閉場の30分前迄
▼東京都美術館(Google Mapで開く)※JR山手線上野駅・公園口より徒歩7分
▼入場無料
▼公益社団法人日本・中国水墨交流協会 主催(ホームページはこちら)
2022年水墨画秀作展カレンダーに掲載 「断崖に立つ」
プロフィール
1943年秋田県生まれ。高校を卒業後、就職で上京。定年まで会社員として勤務する。娘の中学での文化祭で水墨画に出合い、その表現の奥深さに魅せられ、馬驍氏・王萩地氏・林崢明氏と錚々たる人のもとで学ぶ。受賞多数。
現在、八王子、多摩センター、武蔵村山、日野で教室を開講。
友墨会主宰。日中水墨交流協会副会長、八王子市南大沢在住。