TamaHito 45
Shifo さん
自分の育ったまちで歌が残せる素晴らしさ
「みんなでまちを作ろう」思いを込めて歌に
2021年11月、多摩市は市制50周年を迎えました。その中で、50周年がゴールではなく、ここからスタートをと誕生したのが「多摩市市制施行50周年記念市民事業実行委員会」通称『TAMA-BASE』です。
物心つく前に両親に連れられて多摩ニュータウンに引っ越してきて、「ずっと多摩っ子」と自らを称すShifoさん。幼い頃から音楽が大好きで、国立音楽大学ピアノ科を卒業。2006年には、音楽仲間と作曲を担当したmihimaruGTの『気分上々↑↑』が日本レコード大賞金賞を受賞。シンガーソングライターとしてライブを開き、アーティストへの曲の提供なども手がけてきました。
そして今回、前述の『TAMA-BASE』のコアメンバーに加わったことで、「音楽でできることで私も何かできたら」と手を挙げました。多摩市在住の音楽家・夕焼けランプさんが作った詩にShifoさんが曲をつけ、完成したのが『この街の地図』。2020年11月に開催された「多摩市ONLINE文化祭」で東落合小学校合唱団によって披露されました。
「多摩市の一人ひとりが集まって、みんなでこのまちを作っていく、その地図を作っていくという思いを込めました。何よりも子どもたちに一緒になって歌っていける合唱曲を作りたいと、メロデイを考えました」
歌詞には多摩市をイメージさせる言葉は書かれていません。でも、聞いていると、空を見上げて手を高く広げ、みんなで一緒に前へ前へ進んで行きたくなる、そんな元気が湧いてきます。温かな未来が目の前に広がってくる、そんなイメージが溢れ出てきます。
ONLINE文化祭で子どもたちが歌う姿を見て、「子どもたちの素直な歌声に、自分が作ったものとは思えず感動しました。元気ももらえて、ああ、作ってよかったと思いました」と話します。
「会えて良かった」そんな出会いを
そんなShifoさんは、昨年、むさし府中青年会議所の依頼で、コロナ禍の府中市を元気付ける応援歌も作りました。完成した歌のタイトルは『Better than before 君との距離』。
実はこの歌を制作している最中に、Shifoさんは27歳から音楽ユニットを組んでいたパートナー・クーペさんを、肺がんで亡くしました。
「本当に手のかかる人で、ダメおやじ。お金もないし、脳梗塞の後遺症で介護も大変。わがままもし放題。そんな人でした。でもいなくなったら、愛だけが残ってたんですよね。残してくれた歌詞だったり、あの人がいたからこそ救われてたことなどなど、いろいろと見えなかったところが見えてきたんです。ああ、出会えて良かったなと心の底から思って、『ありがとう』って」
寂しくて、クーペさんと一緒にやっていたライブバー『GANBAROU』もやめようと思ったと言います。
「でも私に会いにきてくれる方がいて、『絶対にやめないで』と言ってくれる方がいて。ああ、こんなに多くの方に支えていただいてるんだなと改めて感じました」
未だコロナ禍で、会うことが叶わないことが多い状況が続きます。だからこそ、〝出会えて良かった。ありがとう〟と思える出会いをたくさん重ねていけたらいいなと、歌を聴いて思いました。
「今、自分の育った街で歌を残せる素晴らしさを味わわせていただいてます。私には音楽があるのが大前提なんですね。死ぬまで歌作りを続けていきたい。私が歌を作った後に、聞いた方が何かを感じていただけると、それが私の元気になる。ああ、作って良かった、音楽活動を続けて良かったと思えたら嬉しいです」
音楽のパートナー・クーペさんの追悼コンサートにて
プロフィール
Shifo(しほ) 1972年生まれ。多摩ニュータウンの誕生とともに引っ越してきて、以来ずっと多摩っ子。国立音楽大学ピアノ科卒業。縁あって出会った「クーペ」さんとユニットを組みライブを展開する傍ら、音楽プロデューサーとしてアーティストに曲を提供し、自ら作詞・作曲を手がけて歌いもする。音楽仲間と作曲を担当したmihimaruGTの『気分上々↑↑』は、2006年日本レコード大賞金賞を受賞。現在、府中でライブバー『GANBAROU』も経営。『この街の地図』 『Better than before 君との距離』で公開中。