Tama Hito 65
まつかわ ひろのり・まつかわ ゆみ さん
「〝あそぼう〟をテーマに、つながり、生きていこう」
人との出会いが、今につながっています
聖蹟桜ヶ丘駅から、住宅街をトコトコ歩いて7分ほど。スマホの地図を見ながらキョロキョロ。確かに近くまで来ているのに、辿り着かない。近づいたか思うと、あれあれ、遠ざかってる。こっちか? え、こっち? 「どこどこどこ? どこにあるんだ~」と叫びそうになったところで、家と家の間の細い道の先に小さな看板を発見!
「土日にスマホ片手に迷っている人を『ドーナツ屋さんを探しているなら、こちらですよ』と、ご近所さんが案内してくれたりします。ご近所さんに感謝です」と話すまつかわひろのりさん。ゆみさんとドーナツ専門店『HUGSY DOUGHNUT』を営んで9年目です。ひろのりさんがアイデア・デザイン担当で、管理栄養士のゆみさんが調理を担当しています。
「学生時代に、旅が好きな学生が集まる会で出会い、二人ともに食と旅が大好きだったことから意気投合。〝いつか、居場所となるカフェを作りたいね〟と話してました。何か武器が欲しいと探していて、どちらもドーナツが大好きで〝ドーナツだ!〟と二人でなりました。いろいろなドーナツを食べ歩き、〝他にはないドーナツを作ろう!〟と目指した感じです」
大学を卒業して3年後には店を持つ!と決めたひろのりさんとゆみさん。それぞれが、がむしゃらに仕事をして開店資金を貯め、その額に見合う物件を探します。そして偶然出会ったのが現在の聖蹟桜ヶ丘に建つ古民家でした。
「場所も場所だから、開店当初はお客さんが来なかったですね。でもお店ができたことが楽しくて、辛いとかどうしようとか思うことはなかったです。」
平日は、スーパーでパイナップルの試食販売をしたり、引っ越し会社で働いたり、ビジネススクールの講師をやったり、さまざまな仕事をしたというひろのりさん。ゆみさんはカフェで働いていました。そこでそれぞれに収入を得て、週末、店を開ける日々を過ごしていました。
「激務だったけど、いろんな仕事をやってきたからこそ、いろんな人と出会い、つながったことで、今があると実感します」
SNSで情報を発信し続けるうちに口コミも広がって、そのユニークなデザインと粉からこだわってブレンドするパン生地タイプのふんわりした味わいが人気を呼び、次第次第に、テレビや雑誌で取り上げられることも増えてきました。
大好きな聖蹟で、一緒に〝あそぼう〟
まつかわさんの日々は、〝あそぼう〟の4文字に集約されると言います。
「ドーナツがあったから広がっていったんだと思います」
ドーナツをきっかけにフィギュアを作ったり、本を作ったり、歌を作ったり。さらには、日本全国のあちらこちらでのイベントにも参加してきました。遊び心を大切にして、自分たちがやってみたいと思うことを、つながった人たちに支えられながら実現しています。
「自転車で移動販売もしてるんですが、一番喜んでくださって優しいのが、聖蹟桜ヶ丘の方達です。初めての移動販売した時に僕、お釣りを用意するのを忘れてしまって。そうしたら、『大丈夫、大丈夫』とお客さん同士で両替してくださって、あっという間に完売してしまったんです」
恩返しの思いを込めて、地域を盛り上げるイベントを企画したり、地元産の食材を使ってドーナツを使ったり工夫も重ねています。
「皆さんが応援してくださっていることが、本当にありがたいです。この、大好きな聖蹟桜ヶ丘を拠点に、ドーナツで世界を駆け巡り、戻ってきてはこのまちが盛り上がる仕掛けをやっていきたいですね。大人も、好きなことをやっていいんだと、二人の娘にもその生き様を見せていけたらいいなと」
楽しいことを積み重ね、二人は夢をどんどん広げています。
ドーナツを武器に、世界中にたくさんの笑顔を花開かせていけるといいですね。
プロフィール
共に1988年生まれ、多摩市在住。ひろのりさんは広島出身・横浜育ちでイラストレーター、ゆみさんは八王子出身で管理栄養士。大学生時代に旅好きな学生が集まる会で出会い、共に旅と食が大好きだったことから意気投合。「いずれは、みんなの居場所となるようなカフェを作りたいね」と夢を広げる。そして、2014年に聖蹟桜ヶ丘の古民家で『HUGSY DOUGHNUT』を開店。SNSで発信し続け、そのユニークなデザイン、軽いふんわりとした味わいで人気に。日本だけにとどまらずアメリカや台湾など海外での出店も。
#ハグジードーナツ #HUGSY DOUGHNUT